大日本印刷(以下:DNP)は、要約や調査、翻訳などの業務における生成AIの活用を支援する「DNP 生成AIパートナーアプリ Ctrl+Cat(コントロール・キャット)」の提供を開始する。本アプリは、PC端末での選択やコピーなど、日常的なキーボードの操作だけで生成AIを直感的に利用できるユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)を実現した。「生成AIを使いこなすための手間」を排除し、誰もが簡単に社内業務に活用できるようにすることで、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる。

「Ctrl+Cat」開発の背景と狙い
近年、生成AIの導入が進む企業と、社内利用が浸透しない企業の間で業務効率などにギャップが生まれつつあり、企業の競争力にも影響をおよぼす可能性がある。生成AIの業務活用では、大規模言語モデル(LLM)などのツールの起動や必要な情報の入力、適切な指示(プロンプト)といった複数の操作が必要であり、多くの社員にとって高いハードルとなっていた。それに対してDNPは、複雑な操作や工程を意識せず、生成AIを直感的に利用できる独自のアプリを開発した。
本アプリは、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS Japan)が主催する2024年の「AWS Japan 生成AIハッカソン」でDNPが提案し、コピーしたテキストや画像を一時的に保存するクリップボードを介した情報の受け渡しにおいて、高いユーザビリティが評価されて優勝した。DNPグループ内では2025年1月に一部で運用を開始し、5月現在のアクティブ利用者が対象社員の約50%に達するなど、生産性向上に大きく貢献している。今回、DNP社員向けに提供してきた本アプリを「先行評価版」として販売する。
「Ctrl+Cat」の特徴
1.簡単な操作で作業・業務を効率化
本アプリは、従来の生成AIで必要だった画面の切り替えやアプリの立ち上げなどの手間が不要。画面上の任意の情報を選択するだけで生成AIが即座に対応。ユーザーフレンドリーな(利用者にやさしい)設計で、業務の流れを妨げることなく、誰もが簡単かつスムーズに生成AIを活用して、手間を省略化することで業務の効率化が図れる。

2.「何度でも使いたくなる」体験を重視したUXデザインで利用拡大を促進
本アプリは、利用者が生成AIを継続して使いたくなるようなユニークなUXデザインを採用している。利用者の困りごとを生成AIに伝える猫のキャラクターが登場し、使うことで成長していく“ゲーミフィケーション”の要素を組み込んでいる。「使える」だけでなく「使いたくなる」体験を重視し、利用する楽しさを演出することで、生成AIの活用に消極的だった社員も含めて、全社的な利用拡大につなげていく。

3.追加可能なAIキャラクター
独自のキャラクターを自然言語の指示でカスタマイズして生成する。複数のLLMとの連携によって、テキストだけでなく画像の分析も可能。本機能は、社員のニーズに合わせたカスタマイズが可能で、多様な業務で生成AIの利用促進を実現する。

今後の展開
DNPは、生成AIの社内利用が十分ではないという課題を持つ企業に本アプリを提供し、2027年度までに累計2億円の売上を目指す。また、2025年下期には「正式版」の提供開始を予定。DNPは、企業が契約するLLMと本アプリを連動させることで、利便性の一層の向上を支援する。