ピースオブケイクが社名をnote株式会社に変更 現況を受けCEOの加藤氏「よりやるべきことがはっきりした」

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2020/04/07 12:35

 noteを運営する株式会社ピースオブケイクは、社名をnote株式会社とすることを発表した。同社は本日4月7日に6周年を迎えることを受け、昨日オンライン記者説明会を開催。CEOの加藤貞顕氏とCXOの深津貴之氏が登場し、創業時の思いやnoteの成長モデル、最新のnoteの数値などを振り返った。

 加藤氏は冒頭、創業当時に書いたというブログを公開。

「『コンテンツとテクノロジーとデザインを融合させた、新しいプラットフォームをつくります』と最後に書いていますが、2011年の当時から、こういったことを組み合わせれば上手くいくということはみんなが考えていたと思うんですよね。たとえばアップルやダイソンは、テクノロジーとデザインとライフスタイルが融合された会社。私も、今後新しいことをやっていくにはこの3つが必要だと思い創業していますし、いまも会社として変わらず大事にしています」

note株式会社 代表取締役 CEO 加藤貞顕氏
note株式会社 代表取締役 CEO 加藤貞顕氏

 本説明会では、noteクリエイター支援プログラムなどいままで同社が行ってきた取り組みや、noteから生まれた作品、noteのクリエイター同士の交流、企業との資本業務提携の状況などが紹介された後、現在のサービスの最新状況が公開された。

 これを受け深津氏は、「今年3月の月間アクティブユーザー数は4,400万を突破し、昨年の年初からは約4倍に伸びています。現在は1日平均で15,000ほど記事が投稿されるようになりましたが、数年前はおよそ1,000記事でした」と振り返った。

note株式会社 CXO 深津貴之氏
note株式会社 CXO 深津貴之氏

 また急速にnoteが伸びている理由について「ひとつのKPIを伸ばすために頑張るということをしておらず、この下の図の循環をきれいに流れるかどうか、ということを重視しています。その成果が出てきているのではないでしょうか」と加藤氏は自身の見解を述べた。

 その後、2019年に行った取り組みについても振り返りがなされた。主な施策として挙げられたのは下記の5つ。

1)法人向けサービス「note pro」の開始

2)note.muからnote.comへドメインを移行

「数百万記事があるサイトがドメインを変えること自体、とても珍しいと思います。実際のところ、かなりドキドキしながら移行し、トラフィックが半減になるかもしれないという覚悟もしていました」と深津氏。2019年11月25日に移行を行ったが、2020年2月の時点で検索トラフィックは2.3倍に増加。現在はさらに4~5倍ほどに増えているという。

3)サークル機能の開始

 あらゆるジャンルのクリエイターがコミュニティを作ることができる「サークル」。2020年の2月にスタートした新機能だ。

「noteは記事を書くことができないと少し使いにくい、といった声もありますが、サークルは、掲示板そのものやコミュニティに課金ができる。とても使い勝手が良いのではないかと思っています」(加藤氏)

「サロンに近い機能ではありますが、noteという街の中で部活が増えてほしいという意味を込め、『サークル』という名前にしました。写真、サッカー、地方自治体の交流会など、さまざまなサークルが増えています」(深津氏)

4)ストアの開始

「ECで販売を行っている方も、商品やサービスにいろいろな考え方を持っていると思いますが、その考えを発信していくときにはやはりメディアが必要です。メディアで考えを伝え、コミュニケーションをとっていく。そういったことを、noteのクリエイターもできるようにしたいと思い、スタートしました」(加藤氏)

「各ストアの商品をnoteに表示することで、コンテンツと販売を同時にする。シンプルに、クリエイターがもつECへの送客を最大化しようという取り組みです」(深津氏)

5)組織体制の強化

noteはさらなる事業拡大と組織体制の強化にむけ、2020年3月にCTOの今雄一氏とCFOの鹿島幸裕氏の2名が取締役に就任、坂本洋史氏が執行役員に新たに就任。また、社外取締役に弁護士の水野祐氏、公認会計士の田邉美智子氏が新たに選任、就任した。

 また2020年に行う挑戦のひとつとして、社名を株式会社ピースオブケイクからnote株式会社に変更することを発表。

「ピースオブケイクをスタートした時にnoteはまだなかったですが、会社のメインのサービスはnoteですし、これから本腰をいれていくのもnote。そこは揃えたほうがよいだろうということで、note株式会社としました」(加藤氏)

 最後に加藤氏は、現在の新型コロナウィルスの現況に触れながらnoteのありかたについて語り、記者説明会を締めくくった。

「不要不急という言葉をいま、使っていますよね。僕らがあつかう文化というのはまさに不要不急なものですが、文化がなかったら、僕らのいる世界はずいぶん違うものになっていたはずです。文化は、人類としての厚みをたらしてくれるものだと思います

同時にnoteでは、リモートワークでの工夫やおいしい料理のつくりかた、現在は専門家による新型コロナウィルスの情報なども掲載しています。こういう情報もまた、僕たちの社会を前に進めてくれる、あるいは人を幸福にするために、とても大切なものです。

こういったものを支援することは、いままでもnoteとしてずっとやってきたことではありますが、今回の件を通じて、より僕らのやるべきことがはっきりしたのではないかと感じています。いまの局面はおおげさではなく、人類の危機だと思いますが、人々が協力する良い機会にすることも可能だと思う。コンテンツはそこをつなげることができると思いますし、引き続き、noteとしてサポートしていけたらと考えています」