東京国立博物館と凸版印刷など、法隆寺の国宝「金堂」内部を高精細VR化 かつての姿再現も

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2021/07/18 05:00

 聖徳宗総本山法隆寺と国立文化財機構東京国立博物館、国立文化財機構文化財活用センター、凸版印刷は、世界最古の木造建築である法隆寺の国宝「金堂(こんどう)」のすべてをVRで再現した、VR作品『法隆寺 国宝 金堂―聖徳太子のこころ』を製作した。

 同作品は、東京国立博物館東洋館内「TNM&TOPPAN ミュージアムシアター」で公開。2021年7月13日(火)から9月5日(日)まで同館平成館で開催する聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」とあわせて鑑賞することで、法隆寺やそのゆかりの文化財への理解が深まる。

VR作品『法隆寺 国宝 金堂―聖徳太子のこころ』について

法隆寺の国宝 金堂内部のすべてをVRで緻密に再現

 同作品の製作にあたり、凸版印刷は法隆寺、東京国立博物館、文化財活用センターの監修のもと、金堂内部の仏像や壁画、空間に至るすべてを対象に、立体形状計測と超高精細撮影によるデジタルアーカイブを実施。取得したアーカイブデータをもとに金堂のすべてをVRで精確に再現した。

通常は立ち入ることのできない金堂内の本尊や壁画を間近に鑑賞

 現地では、裳階(もこし)と呼ばれる回廊から金網越しに本尊の正面側を拝観するが、同VR作品では金網の内側の空間に入り、堂内を巡りながら、聖徳太子がわが国の理想としてこころに描いた仏教の世界を体感することができる。

 また、同作品では、釈迦三尊像や薬師如来像、日本最古の四天王像(いずれも国宝)など、金堂内に安置されているすべての仏像や、浄土世界を色鮮やかに描いた壁画、本尊上部を彩る飛天図や天蓋の装飾などをVRによって完全に再現。大画面いっぱいに拡大し、1400年前から今日まで守り伝えられてきた貴重な文化財の数々を間近に鑑賞することができる。

法隆寺金堂のかつての姿を推定再現しVRで鑑賞

 金堂内に安置されている本尊のひとつである薬師如来像の台座画は、現在では彩色が剥落し、本来の姿は判別しがたい状況にある。同作品では、学術監修を担当した東京国立博物館の三田 覚之主任研究員が監修制作した推定復元図をもとに、かつての薬師如来像台座画の姿を再現する。

 そのほかにも、仏像の装飾に使われたタマムシの翅や金堂内の仏像の配置など、文化財に残る痕跡や学術的研究から見えてきた金堂内の様子を、数ヵ所推定再現しVRで鑑賞できる。