フラー、大地の芸術祭公式スマホアプリリリース デジタルで安全・安心、体験向上、魅力発信を後押し

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2021/09/23 06:00

 フラーは、アソビュー、大地の芸術祭実行委員会との連携により開発を進めていた、新潟県十日町市と津南町で開かれる国際芸術祭「大地の芸術祭」の公式アプリ「大地の芸術祭 電子パスポート&ガイド」をリリースしたことを発表した。

背景写真:越後松代棚田群 星峠の棚田
背景写真:越後松代棚田群 星峠の棚田

 アプリを通じた安全・安心な芸術祭の開催と、地域や訪れた来訪者の体験価値のさらなる最大化を図るため、まずは現在開催中の「今年の越後妻有」にて電子パスポートを含むアプリの主要な機能についてテスト運用を実施する。得られた知見は、延期となった3年に一度の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」に生かす予定だという。

 大地の芸術祭は、国際芸術祭であり、日本中で開催されている地域芸術祭の先駆け的存在。過疎高齢化の進む日本有数の豪雪地、新潟県の越後妻有地域(=大地の芸術祭の里:新潟県十日町市・津南町)を舞台に、約200点のアート作品を、年間を通じて地域に展示。アートを道しるべに、里山を巡る旅を体験できることが大きな魅力のひとつだという。

 過疎や高齢化といった地域課題の解決を図る同祭典の一連の取り組みは、地方創生のモデルとしても国内外から高い評価を得ている。

 新型コロナウイルスの世界的な流行の長期化で人々の価値観が大きく変化し続けるなか、これまで以上に安全・安心な芸術祭とするとともに、越後妻有地域の魅力をより強力に発信し続けようと、今回の公式アプリのリリースに至った。

 今般のアプリの企画・開発にあたって、フラーは開発の仕様策定からデザイン・開発・テスト・オペレーション支援までを担当。アプリを通した体験全体の設計のベース案作成やチラシ・ポスターデザインも手がけた。

 今回のアプリローンチにあたっては、次の3つのコンセプトを重視した。

  • 使いやすさ・わかりやすさの重視
  • 越後妻有の魅力発信
  • コロナ禍の感染症対策

使いやすさ・わかりやすさの重視:運営負荷を抑えながらユーザー体験を向上させる機能の付加

 マップや一覧から作品情報を見る機能やお気に入り登録、ルート案内ボタンなど、来訪前でも現地でも便利な機能を搭載。作品情報は大地の芸術祭の里公式サイトと連携しており、情報の統一性担保や運用面の効率化を図った設計となっている。

 また、同祭典のあらましやパスポートの購入・利用方法などまとめたガイドをアプリ内に展開。同祭典そのものへのユーザー理解を深めることができる。

 さらに、電子パスポートを含むアプリ外の対応が必要な仕組み・機能については、運営負荷を最小限に抑えながらより良いユーザー体験になるよう、これまでの運用フローに可能な限り沿ったかたちで対応できる設計となっている。

越後妻有の魅力発信:大地の芸術祭の体験をより深める「じもと話」

 同祭典の作品は、作品を展示する地域そのものと深く関わっているという。そこで、越後妻有の自然、風土、食、人など地域の魅力に触れることができる仕掛けとして、作品と地域、芸術祭と地域の関わりを知ることができるエピソードの一部を、同アプリ限定のコンテンツ「じもと話」として紹介。

 「じもと話」の文章や写真から、アプリのユーザーは越後妻有地域をより深く身近に感じることができ、同祭典を巡る楽しさを深め、広げていくことにつなげていく考え。

コロナ禍の感染症対策:安全・安心な芸術祭の開催を目指して

 同アプリは、新型コロナウイルスの世界的な流行にともない、人々の価値観が大きく変化し続けるなかでの開発となった。

 来訪者や出迎える地域の人々にとってこれまで以上に安全・安心な芸術祭とするため、同アプリには接触を“自然に”避けられる機能を盛り込んだ。

 具体的には、トリエンナーレや季節ごとのプログラム開催期間にさまざまな施設を周遊できる作品鑑賞パスポートの「電子版(有料)」をアプリに搭載。スマホを使った非接触でのスタンプラリーが可能なほか、パスポートの特典内容や利用状況、スタンプラリーのスタンプ済みの作品が一目でわかる仕組み。

 また、来訪前・来訪時の感染対策に向けた注意ポイントなどをガイドコンテンツとして紹介。安全・安心な祭典の一助となるよう工夫した。

 機能の開発にあたっては、デザイナーやディレクターが現地に足を運び、実際の芸術祭の展示作品を体感するところからスタート。地域の人々との交流のなかで、訪れる人と迎える人の双方にとっての安心・安全とは何なのかを考え、UI ・UXの設計に生かした。

すべての人々の体験を向上させるアプリの実現へ

 アプリを利用者の体験を向上させるUI/UXを実現するため、同社はディレクターやデザイナーが現地に何度も足を運び、現地の方々へのヒアリングや実際の作品めぐりなどで現場の空気を直に感じることを大切にしてきた。

 一連の取り組みを通じて出迎える側と訪れる側のそれぞれの当事者として感じられる課題などを丁寧に集め、アプリに反映。今後も当事者意識を大切にしながら、アプリのアップデートなどでさらなる価値向上に取り組んでいくとのこと。