[新連載]サイバーエージェントのCL事業部が解説!協業ビジネスでの新エンタメサービスづくりの過程とは

[新連載]サイバーエージェントのCL事業部が解説!協業ビジネスでの新エンタメサービスづくりの過程とは
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 株式会社サイバーエージェントのCL事業部では、LDHのエンタテインメントコンテンツを届けるFanTechサービス「CL(シーエル)」を開発しています。その過程で培ったノウハウを連載形式でお届けします。初回となる今回のテーマは、CLが生まれた背景や協業ビジネスならではのプロダクトづくりについてです。

 はじめまして。CyberLDHが提供するFanTech(ファンテック)サービスでCTOを務める高橋です。初回では、「CL」の成り立ちや協業ビジネスならではの新しいプロダクトづくりについてお話しします。

「CL」はどのようにスタートしたのか

 「CL」は、LDHのエンタテインメントコンテンツをファンに届けるFanTechサービスです。

 もともとLDH社では、LDH Official mobileサイトや、動画配信サービス『LDH TV』、雑誌『月刊EXILE』やテレビ番組の『週刊EXILE』など、自社メディアを多く展開していました。今までよりもファンの皆さんと直接コミュニケーションを取り、楽しむことができる場所をつくりたいとの思いから新しくスタートしたのが「CL」です。

 サイバーエージェントでは、新しい未来のテレビ「ABEMA」や、動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv」、競輪・オートレースのインターネット投票サービス「WINTICKET」など、動画配信サービスにおけるプロダクト開発の経験を重ねてきました。これまでの知見を活かしながら、「CL」の準備を始めていったのです。

「最高にイケてるアプリ」にするためのチームづくり

 私自身、もともとはバックエンドのエンジニアでしたが、「CL」の直前に担当したサービスではiOSのエンジニアをしていました。数年間にわたるiOSエンジニアとしてのチャレンジは非常に楽しく、とくにリアクティブプログラミングや関数型プログラミングの経験は刺激的で、プログラマとしての成長を感じることができました。

 その一方で、サービス全体のアーキテクチャを設計するエンジニアリングという意味では、バックエンドの領域から離れていると深く関与することが難しいとも感じていました。私がバックエンドの領域から離れていた間に、最新技術やそれに関わるツール、AWSやGCPをはじめとしたパブリッククラウドの成熟を経て、開発を取り巻く環境がガラっと変わっていたのです。

 サービス全体を考えるエンジニアリングを続けたい。そして、最新の技術を使ってサービスの立ち上げから開発をリードするチャレンジがしたい。ちょうどそのように思っていたタイミングで、「CL」のサービスづくりに加わることになりました。

 「CL」の構想自体は2018年から始まっていました。まず行ったのは、私を含めた数人のメンバーによる仕様策定と技術調査。そしてそのあと、本格的にチームメンバーを集めることになったのは2019年4月のことです。当時は、事業責任者とPM(プロダクトマネージャー)、デザイナーが2名、バックエンド、iOS、Android、ウェブのエンジニアが各チームに3〜4名という体制でした。

 UIとUXにこだわり、最高に“イケてる”アプリを目標にしていたチームのメンバーとして必要だったのは、技術力があり細部にまで妥協を許さないエンジニアです。

 それに加えて、「CL」はサイバーエージェントとLDH社の協業事業であり、ステークホルダーが多いという特性があります。そのため自分たちだけでサービスの方向性やスケジュールを決定できない場面も多く、さまざまな事情に柔軟に寄り添って対応できる、経験豊富な"大人"なメンバーが必要でした。

 そういったメンバーは社内でも多くはありませんが、結果的に「ABEMA」や「Ameba」、「WINTICKET」などで新しい技術にチャレンジしているチームで活躍していた経験を持つメンバーが集結。さらに新卒が配属されるタイミングも重なり、各チームともベテランと若手を組み合わせ、「若手のチャレンジをベテランが支える」といった攻めと守りを両立できるチームになりました。

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