インターブランドジャパンが「Best Japan Brands 2023」を発表 トヨタが15年連続1位、NRIが初ランクイン

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2023/02/20 08:00
  • 日本のTop100ブランドのブランド価値総額の対前年成長率は7.7%(昨年 6.9%)
  • ブランド価値の伸長ブランド数が80(昨年79)となり、リーディングブランドは引き続き回復基調
  • ToyotaがBest Japan Brandsで15年連続の第1位
  • Yakultが28% 増で最高の成長率
  • NRIが初ランクイン、TOTOが再ランクイン

 インターブランドジャパンは、ブランドの持つ価値を金額換算する独自のブランド価値評価(Brand Valuation TM)手法を用い、日本発のブランドを対象としたブランド価値ランキング「Best Japan Brands 2023」を発表。

 今年で15回目の発表となるBest Japan Brandsは、インターブランドが2000年より毎年発表するグローバルのブランド価値ランキングBest Global Brands と共通の評価方法を用いており、グローバルのリーディングブランドと日本ブランドの価値を同じモノサシで比較することで、ビジネスの資産としてのブランド価値を世界基準で考察する。

Best Japan Brands 2023概況

コロナ禍が常態化する環境の中で、Best Japan Brands 2023にランクインした全100ブランド個別の対前年成長率の平均は、+6.0%(昨年+8.6%)に。また、ブランド価値の伸長ブランド数が80(昨年79)に、全100ブランドのブランド価値総額も2,733億ドル(前年比+7.7%)となった。

今回、ブランド価値を大きく伸長させたブランドの共通点を分析すると、「ブランド強度分析」の10要素のうち、Agility(俊敏力:組織としてビジネス機会や課題に対応し、期待を超え続けるため迅速に動くことができるか)、Coherence(整合性:あらゆる顧客接点でのブランド体験において、一貫性のあるブランドストーリーや世界観が感じられるか)、Distinctiveness(独自性:特徴的なブランド体験を提供し、際立つものとして既存/潜在顧客から認識され記憶されているか)が高い傾向が確認された。

顧客や社会の変化に迅速に対応し、自社のパーパス(存在意義)にもとづいた活動を、社内外に向けて、経営層から社員まで一貫して徹底的に行い、ときには独自の提供価値や体験を中核事業の領域を超えて創出したブランドが成長したことが窺える。

なおインターブランドジャパンでは、各ブランドにおける事業領域に対する生活者の意識と、企業経営者の意識の違いについての調査を進めている。この分析結果については 3月下旬頃に発表を予定。

Top 5 Growing Brands(前年比ブランド価値成長率 Top 5)

Yakult(36位、前年比+28%)

Yakultは、企業理念「私たちは、生命科学の追究を基盤として、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献します。」を掲げ、社会課題のひとつである世界の人々の健康の維持および向上を常に目指している。コロナ禍を経て、グローバルでも健康・免疫意識が高まり、海外での売上も拡大。そして、現代人にとっての健康上の大きな悩みのひとつ、ストレスを抱えた睡眠時間の短さに着目し、自社の強みの乳酸菌でその社会問題の解決を図った「ヤクルト1000」「Y1000」のヒットが、Yakultブランドの価値向上に大きく貢献した。その上、Yakultの強みであるヤクルトレディ自身の実体験にもとづいた説明への信頼性が、消費者への拡散力を高めている。また、乳酸菌を化粧品にも展開し、ブランド独自の強み(技術、商品、サービス、人)を、変化する市場に合わせて迅速かつ最大限に活用し、自らのパーパスの実現を目指している。

WORKMAN(60位、前年比+24%)

WORKMANは、2022年に経営理念「声のする方に、進化する。」とワークマンの企業理念「Dream(目指す姿):声のする方に、進化する、Purpose(存在意義):機能と価格に、新基準、Belief(価値観、行動指針):しない経営、データ経営、標準化」を刷新した。「婦人用インナー」「トレッキング」「シューズ」など新たな市場に次々に参入、店舗網を生かした「宅配なきEC」、職人向けの新業態「WORKMAN Pro(ワークマン プロ)」など、革新的で独自性の高い商品やサービスを、スピード感をもって展開している。また、世の中が価格高騰の折に、Purposeである「機能性と価格に、新基準」に従い、自社のPB製品の価格を維持。商品開発に協力してくれるファンを3年後に100人へ倍増を計画。異業種の企業とも本格的共同開発を始め、顧客やほか企業との共創により、顧客の「声のする方に進化」している。

Shimano(25位、前年比+23%)

Shimanoは、2021年に100周年を迎えた自転車と釣りのグローバルブランドとして、コロナ禍での世界的な需要の高まりを受け、その価値が再評価されている。とくに自転車分野において、世界のトップレーサーが使用する競技用自転車から生活用自転車まで、その高い品質とデザイン力で世界を魅了し続けている。基本理念「もっと自然へ、もっと人へ」、会社の使命「人と自然のふれあいの中で、新しい価値を創造し、健康とよろこびに貢献する。」を掲げ、新しい自転車文化・釣り文化の創造を目指し、長年多数の文化・スポーツ活動にも注力し、ユーザーと社員とのコミュニケーションを図っている。2022年3月には「シマノ自転車博物館」を開設し、シマノの原点および、らしさの発信を強化。日本発開発型デジタル製造業として「こころ躍る製品」を生み出している。

Daikin(20位、前年比+20%)

Daikinは、空調機器メーカーとして世界トップシェアを誇るブランド。コロナ禍で空気に注目が集まり、パンデミック以前より標榜していた「空気で答えを出す会社」としての一貫した事業活動およびコミュニケーション活動により、「ダイキン=空気で答えを出す会社」と空調総合メーカーにとどまらない、新しい独自の強固なブランドポジションが、世界中の消費者の中に確立された。さらに、戦略経営計画「FUSION25」では、「環境と空気の新たな価値を提供し、サステナブル社会への貢献とグループの成長を実現する」とし、「2050年に温室効果ガス排出実質ゼロ」という目標をいち早くコミットし、「空気で答えを出す会社」から、さらに空気の可能性を引き出し空気で新たな価値を創り出す「空気の会社」へ、社会価値の経済価値への転換においても成果を出し続けている。

Fujitsu(37位、前年比+19%)

Fujitsuは、2020年にパーパス「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」を定義し、それを事業において実現するため、2021 年10月、ビジネスを加速し、社会課題に挑むソリューションを提案する新事業ブランド「Fujitsu Uvance」を開発・展開している。業種の垣根を越えて企業をつなぎ、それぞれの強みを大きな力に変え、地球や社会をより良いものにしていく、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を目指し、一貫したビジュアルとコミュニケーション活動で、世界に発信している。また、パーパスの実現には、社員1人ひとりの想いを結集させ、より大きな力を生んでいくことが重要と考え、社員1人ひとりが自分自身のパーパスに気づくための対話プログラム「Purpose Carving」を実施していることも評価されている。

New Entrants(初ランクイン)

NRI(83位)

NRIは、企業理念「未来創発」に基づき、持続可能な未来社会づくりに貢献し、社会に必要不可欠な存在であり続けるために、DXの先にある豊かさを洞察し、デジタル社会資本の創出を行う方針を掲げてきた。その実現にむけ、未来創発フォーラムを開催するトップ自ら顧客・社会に向けたメッセージの発信を行う強い関与とコミットメントの姿勢が明確であり、DNAを今一度見直すと同時に、ブランドストーリーとしてその想いを社内外に発信するなど新たなNRIの存在力強化に向けた動きが具体的に可視化している。今後、次代に向けた新たなビジネスモデルや社会の仕組みを創造するトータルソリューションカンパニーとして、コミュニケーションを超え、グローバルレベルで事業活動を通した実装力をさらに見せていけるか、期待される。

Re-Entrants(再ランクイン)

TOTO(98位)

2021年より再ランクインしたTOTOは、グループ企業理念「私たちTOTOグループは、社会の発展に貢献し、世界の人々から信頼される企業を目指します。」、ミッション「未来へ続く『あした』へ、人や地球を想うやさしさで、今までとは『ちがう』価値を生み出し、世界の人に期待を超える『まいにち』を届けたい。」を掲げている。コロナ禍による世界的な衛生意識の向上は追い風となり、これからのTOTOブランドの進化の方向性を再確認し、ハイブランドとして、機能性、デザイン性をさらに追求している。

Best Japan Brands 2023(1~50位)
Best Japan Brands 2023(1~50位)
Best Japan Brands 2023(1~50位)
Best Japan Brands 2023(51~100位)