アドビは、サンダンス映画祭2025に先立ち、学生やインディーズからドキュメンタリー制作者、業界のベテランまでのあらゆるレベルの映画制作者を支援する新機能を発表した 。また、Adobe Film & TV Fundに500万ドルを追加で助成し、過小評価グループのクリエイターや映画制作者たちが、スクリーン上や舞台裏でキャリアの機会を得られるよう支援することを発表した。さらに、Adobe Foundationは、先日発生した山火事の影響を受けたロサンゼルスのクリエイティブコミュニティを支援するため、100万ドルの慈善寄付を行っている。
Adobe Premiere Pro(ベータ)の新機能である「メディアインテリジェンス」と「検索パネル」は、膨大なファイルライブラリから最適な映像クリップを迅速に探し出せるようにすることで、ビデオ編集者がこれまで特定のクリップを見つけるために数ギガバイトのファイルを精査していた面倒な作業を解消する。さらに、Adobe Premiere Pro(ベータ)では、新たにAIを搭載した「キャプションを翻訳」機能も提供され、費用がかかり非効率的な多言語のキャプション生成が自動化される。
さらに、Adobe FoundationはAdobe Film & TV Fundの拡充を発表した。2025年には500万ドルの追加資金を拠出し、リサーチや製品の提供を通じて、フェローシップや資金援助、現物寄付を活用したキャリアアップの新たな機会を支援していく。また、Group Effort Initiative(GEI)もAdobe Film & TV Fundに参加し、次世代の編集者、マーケター、クリエイターを育成するためのメンターシップ、トレーニング、そしてキャリアプログラムを提供する。
コミュニティからの要望を反映し、ポストプロダクションを変革するAdobe Premiere ProおよびAdobe After Effectsの最新機能とFrame.ioのCamera to Cloud機能の拡張
Adobe Premiere Proの最新アップデートは、映画制作者がポストプロダクションのワークフローを加速できるようにサポートする。これにより、ショット内のコンテンツを簡単に識別し、より迅速に映像を見つけ、数秒で全世界の視聴者に展開できるようになる。おもな最新機能は次のとおり。
メディアインテリジェンスと検索パネル
大規模なプロジェクトにおいて、膨大な映像クリップから適切な素材を探し出すのは、編集者にとって非常に手間がかかる作業。しかし、Adobe Premiere Pro(ベータ)のAI搭載の新機能「メディアインテリジェンス」と「検索パネル」を使用すれば、必要な素材を必要なときに正確に見つけることができる。 これまでのように手動で苦労してショットを探す必要はなく、メディアインテリジェンスにより、オブジェクト、ロケーション、カメラアングルや撮影日、またはカメラの種類などのメタデータのクリップのコンテンツが自動的に認識される。編集者は、 新しい検索パネルに必要なクリップの種類を入力するだけで、あとはメディアインテリジェンスが自動で残りの作業を処理してくれる。
キャプションを翻訳
映像制作者が世界に向けてコンテンツを配信し、リーチの拡大や、エンゲージメントとアクセシビリティの向上を目指すなか、キャプションの重要性は高まっている。しかし、これまで編集者は手動翻訳によって作業が遅れ、ワークフローが中断され、追加費用が必要になることもよくあった。今回、Adobe Premiere Pro(ベータ)では、日本語を含む17言語のネイティブキャプションの翻訳が提供されるため、ユーザーは新しいオーディエンスに迅速かつ正確にリーチすることが可能になる。
Adobe After Effectsは、モーションプロフェッショナルの要望が多かった以下のようなパフォーマンスの改善を提供する。
キャッシュの改善
コンポジション全体をこれまで以上に高速に再生することができる。 最小システム要件を満たすすべてのコンピューターで、キャッシュされた瞬間にコンポジション全体を再生できる。
HDRサポートの改善
HDRコンテンツを正確に読み込み、モニタリング、書き出しすることができ、より明るく鮮やかなモーションデザイン作業を実現する。
また、Frame.ioは、キヤノン製カメラにおけるCamera to Cloud(C2C)のサポートを拡張した。これにより、ユーザーはCanon EOS C80およびEOS C400カメラから直接、高品質の映像をFrame.ioに自動的にアップロードしてアクセスできるようになり、リアルタイムのコラボレーション、ビデオワークフローの高速化、制作とポストプロダクション間のシームレスな体験が実現する。C2Cは、撮影と同時にメディアを自動的にアップロードすることで、手動でのファイル転送を不要にし、ワークフローを革新する。このシームレスな統合により、メディアへの即時アクセスと、Frame.ioの強力なクリエイティブ管理ツールによるリアルタイムコラボレーションが可能になり、コンテンツ制作が加速する。これにより、遠隔地をつないだチームワークの課題が解決され、プロジェクトの遅延が最小限に抑えられる。
アドビ、Adobe Film & TV Fundに500万ドルを追加で助成し、過小評価グループのクリエイターや映画制作者を支援
アドビとAdobe Foundationは、Adobe Film & TV Fundへの500万ドルの追加助成を発表した。これにより、総額1,100万ドルの基金が、これまでスクリーン上および舞台裏で過小評価グループのクリエイターや映画制作者の支援に拠出されたことになる。昨年、Adobe Film & TV Fund の助成金を通じて The Latinx House に支援された3人の映画製作者の作品がサンダンス映画祭で初公開される。3 名は、「The Librarians」の編集者であるマリア ガブリエラ トーレス(María Gabriela Torres)氏、「Selena y Los Dinos」の監督であるイザベル カストロ(Isabel Castro)氏、「Sweet Talkin’ Guy」の編集者であるマリオ フィエロ(Mario Fierro)氏です。
Adobe Film & TV Fundは、Group Effort Initiative(GEI)と提携し、次世代の映画制作者、編集者、マーケターを対象に、映画やテレビ業界における企業、クリエイティブ、制作の各職務に不可欠なアドビのトレーニングコースを提供している。GEIは、エンターテインメント業界における過小評価グループコミュニティに教育、トレーニング、指導、専門能力開発を提供することを目的としている。このパートナーシップを通じて、アドビとGEIは、雇用主の参画、キャリアの成果分析、戦略開発を通じて、多様なプロフェッショナルのさらなるキャリア育成を支援する。