チームラボと、アブダビ文化観光局と、アブダビでの没入型のデスティネーションと体験を作り出すデペロッパー・ミラル社は、「teamLab Phenomena Abu Dhabi」(チームラボフェノメナアブダビ)を、サディヤット文化地区に、2025年4月18日にオープンすることを発表。
総床面積17,000平方メートルにおよぶこのプロジェクトは、ミラル社の子会社であるミラル・エクスペリエンシズが運営。teamLab Phenomena は、チームラボが提唱するコンセプト「環境現象」をテーマに、特異な環境下によって生み出される現象によって、作品群がつくられている。オープンに向けてチームラボは多数の大規模な作品を制作中で、今回一部の作品を発表する。
teamLab Phenomenaの建築は、チームラボアーキテクツによってコンセプト策定と設計され、アブダビを拠点とするMZアーキテクツとともに実現された。この建築は、展示が自由かつ有機的に変容する環境を提供する重要な役割を担っている。
「teamLab Phenomena Abu Dhabi」のコンセプト
環境が生む現象、その現象が作品の存在。その存在群に没入し、環境と一体となる。
作品は、作品自体で存在できず、環境が現象を生み、その現象が作品の存在である。
これまで人間がつくってきたものは、石ころと同じように物質によって存在がつくられ、それ自体で安定的な構造をもつ。そのようなものとは違い、環境によって作品の存在がつくられる。
環境が現象を生み、環境がその存在の構造を維持する。その存在を環境現象と呼ぼう。
存在は、これまで存在を担っていた物質から解放され、日常的にありふれた空気や水、光なども特異な環境によって現象となり、その現象が存在となるだろう。そして、その存在の境界は曖昧で連続的である。人々が作品を壊したとしても、環境が維持される限り、作品は存在が維持される。逆に、環境が維持されない時、作品は消えてなくなってしまう。人々の意識は、存在そのものから環境に広がっていくだろう。
石ころは、外界から遮断され密封された箱に入れても存在し続けるが、生命は、そのような閉じた箱に入れられると存在を維持できない。生命もまた、環境によって維持されている存在である。
生命は、開いた世界の中で、連続する流れの中の奇跡的な現象かもしれないのだ。
展示作品(一部)
Levitation Void
チームラボ《Levitation Void》© チームラボ
空間の中心部にエネルギーの秩序がある。エネルギーの秩序は、環境によって生まれ維持されている。
そして、エネルギーの秩序は、新たな存在を生む。
空中に静止したこの存在は、何かに吊られているわけではないし、自ら動力を持っているわけでもない。この存在は、物体の概念を超越し、地面でも天井でもない空中の中ほどに静止している。
人々がこの存在を強く押すと、大きく動き出し、時に地面に落ちる。しかし、自らの状態を修復するかのように、再びゆっくりと浮かび上がって空中に静止する。
環境と連続的であるエネルギーの秩序による存在は、環境によって成り立ち、環境とは切り離せない。
エネルギーの秩序による存在は、物質によって作られてきたこれまでの物体の概念を超越する。そして、構造は、生命のようにしなやかでやわらかく、環境が維持される限り、壊れても自らの状態を修復する。
質量のない太陽と闇の太陽
チームラボ《質量のない太陽と闇の太陽》 © チームラボ
私たちは、見ている世界を認識しているのではない。私たちは、認識している世界を見ている。
無数の光の球体群。人々が光の球体に触れようとすると、強く輝き、周辺の球体も次々と呼応し連続していく。
視野を広げてじっと見ていると、闇が凝固したかのような闇の塊の球体群も現れはじめる。
しかし、これらの光と闇の球体群は存在しない。闇の球体群は、カメラにすら写らない。
光の球体表面にガラスなどの物質は何もなく、この球体は光だけでできている。物質的な境界面はなく、球体と身体との境界の認識は曖昧である。
しかし、この宇宙では、光は凝固せず、光だけで球体状の塊になることはない。つまり、この光の球体は存在しない。
この球体は、物理世界には存在せず、認識世界に存在する彫刻「Cognitive Sculpture / 認識上の彫刻」。
マテリアルは、光と環境、そして身体と認識。体験者自らの動的な身体と認識によって形作られ、体験者自身の認識世界に出現し、存在する彫刻。
認識上存在する時、それは存在である。
そして、球体はそれ自体では認識世界にすら存在できず、環境が生み出している。環境がつくる現象が、作品の存在である。
「teamLab Phenomena Abu Dhabi」の建築
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