博報堂は、クロスモーダル知覚(五感の相互作用)に取り組むプロジェクト「Human X」(ヒューマンクロス)をリニューアル、あらゆる感覚や感情を活用 し、生活者に豊かな体験を創出するための研究開発を行うプロジェクト 「Humanity Lab」(ヒューマニティーラボ)を発足した。第1弾ソリューションとして、東京大学大学院情報理工学系研究科の鳴海拓志准教授と共同で、人間の皮膚のテクスチャーを拡張し、感覚豊かな触り心地を生み出す「HUMAN TEXTURE」を開発、提供を開始する。

2018年に発足したHuman Xは、東京大学鳴海准教授と共同で、クロスモーダル知覚(五感の相互作用)を企業のブランド体験開発に活用する実験活動に取り組んできた。
Humanity Labは、Human Xの活動を進化させ、五感に留まらない多様な「感覚」を研究するプロジェクトとして新たにスタートする。感覚には、五感のほか、温度感覚や痛覚、筋肉や関節など深部も含んだ体性感覚や、空腹感や喉の渇き、吐き気といった身体の内臓感覚なども含まれる。Humanity Labは「感覚が、生活者発想を進化させる」を信念に、ひとが本来持っている感覚特性の研究を通じて、感覚体験の可能性を広げることを目指す。さらに、研究から得た知見を活用し、生活者が心豊かになる商品開発、体験創出など、企業に向けたソリューション開発に取り組んでいく。
第1弾ソリューション「HUMAN TEXTURE」は、生活の中で重要な役割を果たす手触りに着目し、心地よさを生み出すテクスチャーとして開発した。

本テクスチャーは、人と人の触れ合いが心身ともにリラックスの効果を生むことから、「気持ちよさ」を感じられる人間の皮膚の質感を活用している。指や二の腕、唇など5つの身体の部位から皮膚テクスチャーを取得し、それぞれ拡張・図形化したものを紙に凹凸加工を施した、本物の皮膚に触れているかのような質感のサンプルを制作した。これらのテクスチャーは、たとえばティッシュや車のハンドル、肌着など、布や紙をはじめとしたさまざまな素材に応用可能で、日常生活に豊かな感覚を提供する。

博報堂は、生活者発想を基盤に幅広い分野での研究やサービス開発に取り組むことで、より良い生活のための提案を行っていく。