NTT Digitalは、ビジュアルボイスが提供する映像コンテンツ流通プラットフォーム「LIFE LOG BOX」において、自社保有のDID/VC技術を活用した実証実験を2025年秋から開始すると発表した。同実証実験では、映像コンテンツ業界におけるクリエイターやバイヤーの本人情報(本人性、経歴、履歴など)の証明に関し、DID/VC技術を適用することで、信頼性の高い映像コンテンツの流通管理基盤の構築を目指す。
実証実験の概要
実証実験では、「LIFE LOG BOX」にNTT DigitalのDID/VCシステムを導入し、クリエイターとバイヤーの各種情報をデジタル証明書(VC)として発行することで、コンテンツ流通における同技術の有用性を検証。初期段階として、「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア(SSFF&ASIA)」の受賞者やノミネート者に対し、それぞれの受賞・ノミネート履歴を証明書形式で発行する。さらに、クリエイターの学歴証明や、バイヤーの過去の取引履歴などもVCとして発行され、取引の安心・安全性の向上に寄与することが期待される。

DID/VCシステム
NTT DigitalのDID/VCシステムは、コンテンツプラットフォーム事業者向けに、証明書の発行・登録・管理を可能にするDID/VC基盤をAPIとして提供するもの。
ユーザーは必要な証明書を申請・取得できるVC発行機能を備えており、証明機関側で申請管理・承認がおこなえる。申請時には、証明書の様式選択、必要項目の入力チェック、決済処理、ステータス管理などがおこなわれ、承認後にはVCがユーザーのウォレットに発行・保管される。
加えて、「クリエイターVP」「コンテンツVP」「パッケージVP」といった取引やプロフィールの可視化をおこなうVP(Verifiable Presentation/検証可能な提示)機能も用意されている。各VPはウォレットと連携して登録され、認証マーク付きで表示される。また、パッケージVPでは、複数のクリエイターやVPを統合し、出品情報との連携も可能となっている。
さらに、取引機能により証明書の提示やパッケージVPの取得ができるほか、ウォレット内での証明書表示・取得・開示などの管理機能も備わっている。

今後同社は、今回の実験を通じ、映像コンテンツ業界でのDID/VC技術の社会実装を進めるとともに、他業界・他分野への横展開も加速させる考えである。人材・キャリア業界におけるスキル・資格証明や金融業界における本人確認など、DID/VCによる新たなユースケースの創出に取り組む方針だ。