アップル、Final Cut Pro Xをアップデート 編集作業効率化する機能追加でワークフロー強化

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2020/08/28 06:00

 Appleは、Final Cut Pro Xの最新アップデートを提供した。これにより、ワークフローのリモート作業が強化され、コンテンツクリエイターの編集作業をスピードアップするパワフルな新機能が追加される。

 プロキシメディアの作成および管理方法の向上により、高解像度フォーマットで作業する場合、またはリモートで共同作業を行う場合のポータビリティとパフォーマンスが向上。ソーシャルメディア用の新しいツールでは、人気のソーシャルメディアプラットフォームに合わせて、ビデオをスクエア、縦型、その他のカスタムサイズに自動的にトリミング可能。

 同アップデート内容の詳細は、次のとおり。

プロキシを用いるワークフローの強化

 現在は、これまで以上に、さまざまなロケーションからリモートで編集作業に取り組む機会が増加。同アップデートでは、プロキシを用いるワークフローが大幅に強化され、編集作業に用いるライブラリの移動が容易になり、巨大な高解像度ファイルをともなうリモート作業が簡素化される。

 同シリーズとしては初めて、ProRes ProxyまたはH.264コーデックを用いて、オリジナルサイズの12.5パーセントまで縮小したプロキシファイルを作成できるように。また、プロキシメディア、イメージ、オーディオの各ファイルを外部またはネットワーク接続されたドライブにまとめられるようになった。同シリーズのライブラリも作成済みのプロキシに再接続できる、柔軟性はさらに高まる。XMLを利用すれば、他社製のアプリケーションで生成されたプロキシメディアに接続することも可能。一部のクリップでプロキシメディアが利用できない場合でも、ワークフローを適応させて、オリジナルファイルまたは最適化されたバージョンのどちらでも表示するようにできる。

ソーシャルメディア向けトリミングの自動化ツール

 同アップデートにより、ソーシャルメディア向けコンテンツを用意する作業もこれまで以上に容易に。プロジェクトで使用中の各クリップは機械学習を用いて自動的に主要な動きが解析され、Smart Conformによるインテリジェントなトリミング作業を通じて、スクエア、縦型、そのほかの任意サイズのビデオに変換される。Transform Overscanによって、拡大・縮小、回転、位置を調節する際にトリミング境界の外側の部分が表示されるので、トリミングの位置合わせを容易に行うことができます。また、Custom Overlayを追加して、横型以外のフレームにテキストやグラフィックを配置する際のガイドにすることができる。

編集ワークフローの強化

 プロのビデオ編集作業は、新しい一連のワークフロー強化により、いっそう効率化が図れるとのこと。同アップデートにより、ISO、色温度、露出オフセットのようなProRes RAWカメラ設定がインスペクタに表示されるようになる。隣接するクリップ間のオーディオのクロスフェードもワンステップで容易に適用できるようになったほか、新しいコンテクストメニューにより、プロジェクトを閉じたり、タイムラインの履歴を消去したり、クリップやプロジェクトを各ファイルの最終変更日に基づいてリスト表示で見やすく分類できる。

 同リリースでは、RED RAWおよびCanon Cinema RAW Lightフォーマット用の新しいMetal対応プラグインでも著しいパフォーマンス向上を実現。8K RED RAWビデオをProRes422にトランスコードする速度はMac Proで最大2倍、MacBook Proでは最大3倍まで向上するという。

 さらに、同シリーズでは初めて、8K Canon Cinema RAW Lightの再生・編集も可能に。360度ビデオでの作業では、ステレオスコピック3Dビデオに対する手ぶれ補正を素早くこなし、360°ビューアで左右の目に対する個別のビデオストリームを使って映像を確認できる。

 さらに、リモートコンテンツを使った作業も、Frame.ioワークフロー機能拡張などのウェブベースのアセット管理アプリケーションからバックグラウンドでダウンロードしながら、すぐに始めることができる。

MotionとCompressorもともにアップデート

 Motionには新たにプロユーザーに向けて、素晴らしいエフェクトとグラフィックスの作成のための多様な可能性を広げる機能を用意。他社製の3Dモデルを読み込んだり、あるいは、USDZフォーマットの3Dモデルを収めた内蔵ライブラリから選んで、これをタイトル、ジェネレータ、エフェクト、トランジションに利用できる。

 さらに、3Dモデルの位置、回転、拡大・縮小をビヘイビアやキーフレームで操作したり、既存のリプリケータ、エミッタ、ライト(照明)、カメラを利用することで、クリエイティブの質をいっそう高めることもできる。

 Motionの今回のアップデートにはStroke Filterという新ツールも含まれ、これを使ってオブジェクトやテキスト要素のアウトラインを各々のアルファチャンネルを使って自動的に得ることができるとのこと。得られたアウトラインにオフセットを設定して動かしたり、同じオブジェクトに対して複数のStroke Filterを適用したり、あるいはグラデーションツールを使って異なる色が設定された複数のストロークを作成可能。

 以上の新機能により、モーショングラフィックスアーティストは、要素のアウトラインを手動で作成するような手間の掛かる作業を避け、アニメーションやエフェクトを効率的に作成できるようになるという。

 Compressorもアップデートされ、カスタムLUTエフェクトのサポート、各社カメラのLUTを利用してログエンコードされた映像をSDRまたはHDR出力に変換する機能、そのほかのワークフロー強化につながる機能を搭載したとのこと。