Microsoft CorpとNuance Communications,Inc.は、マイクロソフトがNuanceを1株当たり56.00ドルで買収する最終合意に達したことを発表した。これは、4月9日(金)時点のNuanceの株価終値に対する23パーセントのプレミアムであり、現金取引ではNuanceの純負債を加味し197億ドルに相当する。
Nuanceは、クラウドとAIソフトウェア企業であり、数10年にわたり、ヘルスケアとエンタープライズAIにおける実績を積んできた。NuanceのCEO、マーク ベンジャミン(Mark Benjamin)氏は現在のポジションに留まり、マイクロソフトのCloud&AI担当エグゼクティブバイスプレジデント、スコット ガスリー(Scott Guthrie)氏の直属となる。
同買収はマイクロソフトの業界向けクラウド戦略の最新のステップに相当。買収は本年中に完了する予定という。
Nuanceは、対話型AIとクラウドをベースとした、ヘルスケアプロバイダー向け医療インテリジェンスのプロバイダー。同社製品には、Dragon Ambient eXperience、Dragon Medical One、そして、PowerScribe Oneなどがある。これらは、すべて、Microsoft Azure上で構築された医療関連の音声認識サービスを提供するSaaS。Nuanceのソリューションは、EHR(電子カルテ)などのヘルスケアのコアシステムとシームレスに連携し、医療関連文書管理の負担を軽減し、患者体験を向上できるようヘルスケアプロバイダーを支援する。
同買収は、2019年に発表された既存のパートナーシップの成功に基づくもの。NuanceのソリューションによるMicrosoft Cloudfor Healthcareの強化、そして、Nuanceの専門知識とEHRシステムプロバイダーとの関係の活用によって、マイクロソフトは、アンビエント医療インテリジェンスとほかのマイクロソフトのクラウドサービスを組み合わせ、ヘルスケアプロバイダーへの支援を向上していく。
両社は、拡大したパートナーエコシステムでも既存のコミットメントをさらに強化していくとともに、データプライバシー、セキュリティ、コンプライアンスにおいても最高レベルの水準を維持していく。
ヘルスケアの領域以外でも、Nuanceは、世界のあらゆる業界の企業に向けてIVR (Interactive Voice Response)、仮想アシスタント、生体認証などに関するAI専門知識と顧客エンゲージメントソリューションを提供している。マイクロソフトのAzure、Teams、Dynamics 365などのクラウドソリューションとこの専門知識を組み合わせることで、次世代の顧客エンゲージメントとセキュリティのソリューションが提供される。