視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタルは、スマートフォン視聴率情報「ニールセン モバイル ネットビュー(Nielsen Mobile NetView) 」のデータをもとに、Z世代に含まれる18歳-24歳と65歳以上のシニア世代の日本におけるスマートフォン利用動向を発表した。
デジタル広告は消費者とのコミュニケーションを取るためのさまざまな機会を提供する一方で、マーケティング担当者が解決すべき課題も多くある。これまではデジタル広告を配信するうえで、サードパーティークッキーなどのデジタル識別子を活用したターゲティングが主流だったが、クッキーレス化が進むなか、ターゲティング設定やリーチ、フリークエンシーをコントロールすることはますます困難になってきている。これらの課題に対処すべく、広告支出をプログラマティック広告から予約型広告に転換を始めているマーケティング担当者も少なくない。
従来型携帯電話からの転換で、スマートフォンの利用は65歳以上の消費者で増加していることから、シニア世代とコミュニケーションを取る手段としても、デジタルメディアの重要性が高まっている。また、シニア世代に加えて、Z世代は労働人口に加わり購買力が高まることが期待されることから、若い世代にも多くのマーケティング担当者の注目が集まっている。
デジタル上の行動は世代によって大きく異なり、効果的にターゲットにリーチするためには、それぞれの世代の動向を把握することが不可欠となる。これまでプログラマティックを活用し、ターゲティング広告をメインで出稿していたマーケティング担当者であれば、各メディアを利用するオーディエンスの理解を重要と考えるよりも、ターゲティング設定の調整により重きを置く場合が多い。しかし、予約型広告を配信するうえでは、メディアのオーディエンス特性を把握し、広告キャンペーンのターゲットに適したメディアであるかを判断することが重要となる。
デジタル広告を出稿するうえでは、各世代のスマートフォン利用の全体像を把握することが重要である。たとえば、Z世代とシニア世代の、アプリとブラウザの利用状況をみると、利用時間ではどちらの世代でもアプリの割合が高くなっているが、シニア世代ではZ世代と比べるとブラウザの利用時間シェアは2倍以上。つまり、アプリから使用されることの多いメディアのみがメディアプランに含まれている場合、シニア世代にリーチする貴重な機会を失っている可能性があることを意味する。
メディアを選定する際には、各メディアが発表している媒体資料を活用してメディアプランをたてることが多い。しかし、オーディエンスデータの指標やその作成方法はメディアによって異なっていることが多く、各メディアのオーディエンスを直接的に比較できないことが課題となっている。そのため、オーディエンスを横並びで比較可能な、代表性が担保された第三者機関が提供するメディアデータをあわせて利用することが重要となる。それにより、マーケティング担当者はターゲットとしている消費者がどのようなサービスに時間を費やしているかを理解し、どのような媒体をメディアプランに取り入れるべきかを可視化することができる。
実際に、デジタルネイティブであるZ世代はスマートフォン利用時間の大半を「エンターテイメント」やSNSなどが含まれる「サーチ、ポータルとコミュニティ」に費やし、それぞれスマートフォン利用時間の43%と24%を占めていた。一方、シニア世代でも「エンターテイメント」と「サーチ、ポータルとコミュニティ」には多くの時間を費やしているが、若年層と比べるとその割合は少なく、それぞれ22%と19%だった。また、65歳以上は「ニュースと情報」に、スマートフォン利用者全体と比べると2倍以上の時間を費やしていることがわかる。
また、キャンペーンの目的によっては、効率的にターゲットにリーチするだけでなく、エンゲージメントを高めることが可能なメディアを選定することも重要に。このような場合は、どのようなサービスが各世代に特徴的に利用されているかを把握する必要もある。
利用者数上位5位のサービスを年代別に見ると、「Google」、「LINE」、「YouTube」、「Yahoo Japan」がどの年代でも上位に含まれているが、各年代が特徴的に利用しているサービスを見ると、年代によって異なる傾向があることがわかる。Z世代では「Zenly」、「Discord」、「pixiv」などのサービスを利用する傾向がある一方で、シニア世代では、ニュース関連サービスが上位にランクインしている。