1話3分のショートドラマアプリ「BUMP」を手掛けるemole、総額約2.6億円の資金調達を実施

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2023/09/13 09:05

 1話3分のショートドラマアプリ「BUMP」を手掛けるemoleは、計6社のベンチャーキャピタル[千葉道場ファンド、サムライインキュベート、D4V(Design for Ventures)、朝日メディアラボベンチャーズ、ココナラスキルパートナーズ、アドウェイズ・ベンチャーズ 以下、VC]を引受先とする2.6億円の第三者割当増資(プレシリーズAラウンド)を実施した。シードラウンドの調達額とあわせて、これまでに累計3.1億円を調達している。今回の資金調達によりアプリユーザーの拡大と、クリエイターが参画しやすいプラットフォームへの進化を加速させ、emoleがビジョンとして掲げる「創造で挑戦できる世界へ」を早期に実現する。

資金調達の背景

 2022年8月に行ったシードラウンドの資金調達により、ショートドラマ配信アプリ「BUMP」は、2022年12月末にローンチすることができた。アプリのローンチ後約8ヵ月経過し、アプリは50万DLを超え、App Storeの全体ランキング(無料App)ではノンプロモーションながら最高で3位を記録し。また、TikTokなどSNS上で公開しているプロモーション用ショート動画の総再生回数は、約4.6億回まで増加している。

 今回の資金調達では、ショートドラマコンテンツの制作と公開サイクルを早めるための体制構築(採用強化+外部パートナー拡大)と、アプリUI/UX強化、プロダクト開発体制強化に充当する。これにより、良質なドラマコンテンツをより没入感のある視聴体験としてユーザー届け、1話ごとの有料課金や広告視聴を積極的に促し、クリエイターへの利益循環の強化・クリエイターエコノミーの構築を目指す。

ドラマ制作領域でのマネタイズはエンタメビジネス全体で大きな課題

 一般的にドラマ制作は、VLOGなどワンオペレーションで制作できる動画と比べてコストがかかりる。クオリティを求めると制作スタッフや出演者は数十人体制、機材は合計で数百万円、撮影は復数日にまたがるのは当たり前で、制作したコンテンツを通してマネタイズができる手段は映画上映の興行収入やスポンサーとのタイアップなどに限定される。

 YouTubeなど動画プラットフォーム上で広告収入を得るには、更新頻度を保ち、ユーザー登録を促進し、視聴回数を稼ぐなどの手法が有効であるが、ドラマというフォーマットでこれを実現させるのは困難との考え。

「BUMP」のビジネスモデルと、なぜクリエイターに還元されるのか

 ショートドラマ配信アプリBUMPは、「制作原価」の回収前後でクリエイターに支払う報酬体系が変わる。制作原価を回収するまでは、1話67円の課金収入や、広告視聴によって得られる広告収入からストア手数料を差し引いた利益の70%をクリエイターに還元する。回収以降も40%を還元する仕組みを取ることで、クリエイターは安心して次の作品づくりなど、新たな創造的な活動に挑戦することができる。

 こうした収益還元体系を整備することで、emoleとクリエイターは一蓮托生の関係性を構築することとなり、emoleおよびBUMPは制作費分の利益を早期に回収するという短期目標に全力を注ぐ。結果としてドラマ作品をヒットさせることが事業繁栄の生命線となる。(還元率や体系は2023年8月時点のものであり、今後変更する可能性がある)

今後の展開予定:emoleが目指すクリエイターエコノミーのありかた

 経済的な還元だけでなく、「コンテンツづくり」のノウハウをクリエイターと共有するコミュニティプログラムを構築する予定。コミュニティでは、流入元や離脱率など、アプリに蓄積されたトラフィックデータを共有する。クリエイターは自らコンテンツを分析し、ヒットから逆算したドラマ制作のPDCAを回すことができるようになる。これにより各クリエイターの作品が安定的にヒットする環境が創出され、収益だけではなく、創造に挑戦する仲間づくりや、自ら手掛けた作品がヒットする喜びなど、感情面での報酬もクリエイターに還元する。emoleは「創造で挑戦できる世界へ」というビジョンの実現に向けて、まずは自社から挑戦を続ける。

「BUMP」を手掛ける株式会社emole 代表取締役 澤村 直道氏

プロダクトもコンテンツもない時から多くの方に支えられ、人脈もなく、右も左もわからない中で、地道に一つ一つの壁の乗り越え、やりたかったことのほんの一部がやっと形になってきたなという感覚です。大変な状況の中でも多くの方に身を削って支えていただけたことで、ここまでたどり着くことができました。BUMPというプラットフォームは、芸能界の構造的な不を解消し、クリエイターを経済的に豊かにすることで、エンタメ市場に大きな変革をもたらすと確信しています。大きな挑戦ですが、ワクワクしながら、これからもたくさんの仲間たちとこの冒険を楽しんでいけたらと思っています。