「昨年もっとも成長した地域は日本」「想像を現実に変えていく」 CEOが来日し、Figmaが戦略発表会を開催

「昨年もっとも成長した地域は日本」「想像を現実に変えていく」 CEOが来日し、Figmaが戦略発表会を開催
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2024/03/15 07:00

 デジタル製品をデザイン・構築するための製品開発プラットフォーム「Figma」を提供するFigma, Inc.の日本法人​ Figma JapanはFigmaの事業戦略発表会を開催した。

 冒頭、日本カントリー・マネージャーの川延浩彰氏はFigma Japanとしてのこれまでの2年間を振り返り、「顧客基盤、収益基盤ともに拡大してきた」こと、「この1年間でもっとも成長している地域は日本」であることなどを明かした。

「コミュニティも大きく成長しています。上陸からわずか2年間で、その規模は2,300人から25,000人となり、10倍以上の規模になりました。このコミュニティは『Friends of Figma』として展開しており、北は北海道、南は沖縄まで24の地域に広がっています」(川延氏)

 続いて、来日したFigma の共同創業者兼CEOのDylan Field(ディラン・フィールド)氏は、Figmaの概要についてあらためて解説。Figmaが「デザイン・ツール」から「ソフトウェア開発プラットフォーム」へと進化したことを強調した。

「Figmaはソフトウェアデザインのツールとして知られていますし、そこからスタートしました。それが原点ですが、単なるデザインツールではありません。ソフトウェアを構築するためのプラットフォームなんです。デザインは、頭の中にあるアイディアを現実にするためのプロセスの一部に過ぎません」(Dylan氏)

Figma 共同創業者兼CEO Dylan Field(ディラン・フィールド)氏
Figma 共同創業者兼CEO Dylan Field(ディラン・フィールド)氏

 そのプロセスには、「ブレインストーミング」「デザイン」「開発」の3つがあり、それぞれ「FigJam」「Figma Design」、デベロッパーが開発できるよう昨年ベータ版をリリースし「誰でも使えるよう1ヵ月ほど前に公開したばかり」の「Devmode」がそれらのステップをサポートする。

「私たちがこういった設計を実現できるのは、ウェブブラウザのおかげ。誰でもアクセスできるリンクを用意すれば良いからです。リンクひとつでアクセスすることができるため、学生でもどの国にいても、あらゆる人にオープンで、協力しあうことができるのです」(Dylan氏)

 FigJamやDevmodeのデモンストレーションを挟んだのち、ふたたび登壇したDylan氏は、2024年の今後の戦略についても説明。

 Figmaでは、チームがソフトウェアでデザインをするために多くのことを行ってきたが、さらにもっとソフトウェアを優れたものにできないのかを、常に考えてきたと言う。

「FigJamでブレストを行い、チームとしては何を作りたいのかを考えることはダイナミックかつエキサイティングである一方、デザイナーにとって、突然真っ白なページからスタートするのは怖いことかもしれません。多くのデザイナーが真っさらなページからデザインをスタートしていますが、改善できるのではないかと考えています。デザイナーと同僚の間で何度もやりとりが発生することも課題のひとつでしょう。

 また、アイディアから開発までを難しく感じさせない方法もあるはずです。それを早く実現するためにはどうしたら良いのかも考えてきました」

 そう語ったうえで、2024年にFigmaがフォーカスすることとして挙げたのが「想像を現実に変えていく」ことだ。そして、それを実現するのに最適なポジションにおり、かつそのためのすべてのピースを持っているのがFigmaだと自信をのぞかせる。

 その根拠として「ひとつのプラットフォームですべてに対応できること」「デザインをコード化することとはなにかを深く理解していること」「ユーザーの3分の1が開発者」であることの3つを示し、そのために大きな役割を果たすのが「AI」だとDylan氏。次のように続け、自身のパートを締めくくった。

「AIはデザインプロセスの敷居を下げることができます。それによってプロのデザイナーはさらに多くのことを可能にするでしょう。そしてAIはデザインの天井を高くする役割も担っている。アイディアから完成まで、そして想像から現実まで、私たちのプラットフォームがAIを使ってできることはまだまだたくさんあります。今後の展開を楽しみにしていてください」

 最後に川延氏がふたたび壇上に戻り、日本における今後の戦略について説明。

 GDPの低下やデジタル競争力ランキングの転落など「日本においては、上昇しているというより下降傾向にあると感じる人も多いと思う」としながらも、その一方で、日本のソフトウェア市場の収益は250億ドルが見込まれていることを示した。くわえて、日本のさまざまな企業がすでにFigmaを採用しているものの、上場企業225社の導入数は3分の1にとどまっている点も、「これからより多くの企業がDXを優先していく過程において大きな成長機会になると考えています」と川延氏は話す。

Figma Japan株式会社 日本カントリー・マネージャー川延 浩彰氏
Figma Japan株式会社 日本カントリー・マネージャー川延 浩彰氏

 そのうえで、今後の戦略のための3つの柱について次のように語った。

「過去2年における日本市場の大きな成長、今後さらに成長していくために、Figma Japanでは3つの領域にフォーカスしていきます。

 ひとつめが売上主導の成長『セールス・レッド・グロース』、ふたつめが『パートナー・レッド・グロース』です。今後、さらに日本市場で浸透させていくためにはパートナーが重要です。Figma Japanとしては適切なパートナーシップの形を模索していきたいと思っています。3つめは『コミュニティ・レッド・グロース』。Figmaはコミュニティによって成長してきたため、これからも関係を強化していきたい。この3つのレッドグロースストラテジーを中心に、日本のマーケットにしっかり向き合っていきたいと思っています」

同日夜に開催されたFigma Japan2周年記念イベント「THE WAYS WE WORK」で挨拶するDylan氏と川延氏
同日夜に開催されたFigma Japan2周年記念イベント「THE WAYS WE WORK」で挨拶をするDylan氏と川延氏