TISとSAKEXは、米鶴酒造が提供する日本酒と特別体験をトークン(NFT)として販売する実証実験を開始することは発表。
今回の実証実験イメージ
「トークン活用型ブランディング支援サービス」は、商品や体験のトークン化に必要な企画、技術、法務などを包括的に支援するサービス。本サービスにより、企業はトークン化をスムーズに実現でき、ブランディング強化や新しい購買体験の提供が可能になる。
今回の実証実験では、SAKEXが運営するECサイト「SAKEX」で、米鶴酒造が醸造する日本酒と特別体験トークンをセットにして販売する。購入者は、米鶴酒造の日本酒を自宅で楽しんだのちに、特別体験トークンがチケットとなり米鶴酒造が限定で開催する特別体験に参加できる。さらに、特別体験への参加や、参加者の証として受け取ることができるファン証明トークンを通じて地域や造り手と継続的な関係を構築することが可能になる。今回の実証実験においては、TISとSAKEXが企画・運営を行い、TISはトークンの発行、SAKEXは「SAKEX」での日本酒と体験の販売、米鶴酒造は日本酒および特別体験の提供を担う。
背景
日本で生産される「Made in Japan」の製品は、高い品質や信頼性から海外でも人気が高く、日本食ブームなどをきっかけに日本酒の輸出量は増加傾向にある。一方、1973年に170万キロリットルだった国内出荷量は、他のアルコール飲料との競合や若者の飲酒離れなどにより2023年には39万キロリットルまで落ち込み、日本酒を生産する酒蔵の減少が続いている。
トークンを含むweb3はブロックチェーンを基盤とする新しい価値交換手段であり、今後さらに発展が見込まれる新興市場。商品や体験の引換権や所有権をトークンなどのデジタルアセットと紐づける「モノのトークン化」の市場規模は、2030年までに16兆ドル(2,000兆円以上)規模に成長すると言われている。
そこでTISとSAKEXは、日本酒の新たな流通経路や生産者と消費者の継続した関係づくりを提供し、日本酒とその生産地域が持つ魅力や背景価値を発信する実証実験を開始する。
概要
今回の実証実験における特別体験では、米鶴酒造の社長と日本酒の持つ魅力について語りながら、体験日限定で提供される初しぼりの特別酒と山形県産の食材を使ったコース料理とのペアリングが体験できる特別ディナーを提供する。
提供トークンデザイン
今回発行するトークンは、イクタケマコト氏による描き下ろしデザインを採用。人と街並みをポップな色彩で表現し、米鶴酒造と酒蔵周辺地域の魅力が反映されている。
特別体験トークンのチケット
ファン証明トークンのデザイン
本トークンは、特別な体験に参加した人のみに提供される限定アイテム。そのため、デザインはシークレットとなっており、参加者のみが手にすることができる。
特徴
今回の実証実験で活用する「トークン活用型ブランディング支援サービス」の特徴は以下の通り。
「モノのトークン化」による新しい流通の実現
流通の制約がなく流動性が向上
商品・体験の権利をトークン化して取引することで、場所などの物理的な制約を受けずに、ECサイトや個人間での2次流通などさまざまなチャネル通じて商品を届けることが可能。
透明性の高い取引
ブロックチェーン上で発行されるweb3トークンは、コピーや改ざんが不可能、発行者や所有者が検証可能。実際の商品自体が流通することなく、その権利であるトークンのみを流通させ、最終的に生産者と購入者の当事者間でトークンと実物を交換することで、真贋対策と品質管理の両面で高い透明性を実現。
消費者との「購入して終わり」ではない関係づくり
商品の企画から流通・消費までの過程において、メーカーが商品ライフサイクルの各段階で状態が変わるトークンを発行することで、「購入して終わり」ではない購入者との継続的な関係づくりを実現。
トークンを活用した体験設計
商品を単純にトークン化して販売する機能を提供するだけでなく、商品が持つ背景価値を共有するトークンを活用した消費者体験を提案。
今後について
今回の実証実験を通じて、日本酒と日本酒にまつわる特別体験トークン販売本格展開に加えて、伝統工芸品など日本酒以外の商品・体験への展開を目指す。
また、ファン証明トークン保有者向けに周辺地域の観光施設や飲食店などでの特典の提供などを通じて、ファン証明トークンを活用した購入者と生産者間の継続した関係づくり、ファン証明トークン保有者間でのコミュニティ形成実現を目指すとともに、トークンを軸とした経済圏の確立や地域活性化に繋げる検討を進めていく。