みなさん、はじめまして!株式会社ロフトワークでプロジェクトディレクターをつとめている松本亮平です。
ロフトワークは、プロジェクト単位のクライアントワークがメインです。プロジェクトでは、クライアントのミッションや課題の本質を問い直すことからはじめ、国内外さまざまなクリエイターをプロジェクトメンバーとして巻き込み共創しながら、新規事業の創出支援、デザインリサーチ、ウェブサイト制作、空間企画プロデュース、展示企画プロデュースなど取り組む内容は多岐にわたります。
この連載では、そんな僕がプロジェクトディレクターとして過ごすなかで得た学びや気づきをもとに、ディレクター/クリエイターが変化の激しいこの時代をサバイブしていくためのTipsをいくつかご紹介しようと思います。
初回となる今回は、プロジェクトでの動きかたを通して感じた「ディレクター/クリエイターが持つべき3つの脳」について紹介します。
COVID-19の影響によるリモートワーク導入など、働き方が見直されつつあるいま、どんな働き方をしていくべきか、どんな働き方をしていきたいのかといったことが、フリーランスに限らず大きな組織に所属していても問われる時代になっています。そんないまだからこそ、少しでもみなさんらしいワークスタイルを模索するヒントになれば幸いです。
クリエイターが備えるべき3つの脳
変化の激しいこの時代をクリエイターがサバイブしていくうえで、僕がまず大切だと考えているのは、これから紹介する3つの脳を持ち、そのうえで、いま自分が取り組んでいる目の前の作業がどの脳をはたらかせているのかを意識しながら過ごすということです。
それでは、3つの脳とはいったい何を指しているのか、そして具体的にどういう場面で活用していくのかを紹介していきたいと思います。
ひとつめの脳:プロジェクトマネジメント脳(鳥の目)
冒頭で触れたように、ロフトワークではプロジェクト単位での仕事が多いため、自分が受け持っているプロジェクトを管理する(プロジェクトマネジメント)ということがメイン業務のひとつです。
プロジェクト管理をする際にまず取り組むのは、「どんなゴールに向かってどのようなプロセスでプロジェクトを推進していくのか」を、プロジェクトメンバーの先頭に立ってデザイン(設計)することです。
そして、それに沿ってスケジュール管理はもちろん、制作するものの品質管理、関わるプロジェクトメンバーを含めたステークホルダーの管理、発生しうるリスクやコミュニケーション面の管理など、鳥の目で俯瞰的に全体を見回すことも、プロジェクトマネジメントには求められます。マネジメントという言葉が保守的な印象を与えてしまいがちですが、良いマネジメントをするために、能動的に、そしてクリエイティブに、まず「プロジェクトをデザインしている」というポイントがミソです。
ロフトワークのプロジェクトディレクターのように、それを生業とするメンバーがプロジェクト内にいれば安心ですが、クライアントとクリエイターの2属性のみの座組みでプロジェクトが進行されるシーンもまだまだ多いように思います。だからこそこういった視点は、ディレクターに限らずクリエイターも持っていて損ではないスキルだと思います。
たとえば、ロフトワークに中途で入社した社員には、グラフィックデザイナーやデザイン関係の仕事をバックグラウンドに持つ人が少なくないのですが、「プロジェクトマネジメントの力を磨きたかったから」という理由を入社のきっかけにあげる人が多い。そのスキルを高めることで、獲得していける仕事の領域が広がるからでしょう。
クリエイターのメインの仕事範囲である制作に加え、どんな過程を経るのがよいのか。会議体や機会はどのように設定すればよいか。制作を進めるなかで、より制作物の品質や価値を高めるためにはどうすればいいのか。そういったプロジェクト自体のデザインも得意だという人は、制作物のほかにプロセスづくりにもクリエイティビティを発揮することができると思います。