コロナ禍のメディアライフ 注視すべきは「時間」ではなく「情報態度」や「利用行動」の変化/博報堂調査

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2020/07/09 05:00

 博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所は、「緊急事態宣言解除後のメディア接触調査」を実施。新型コロナウイルス感染拡大を受けた生活変化において、生活者のメディアライフの変化を明らかにした。

 同調査では、在宅率上昇による一時的な変化だけでなく、今後も続いていく大きな潮流「メディアの新常態」を把握することを目的としている。主な発見点は次の3つ。

緊急事態宣言解除後の5月末のメディア接触時間は、1月末比99.2%で横ばい

 1日あたりのメディア総接触時間(15~69歳全体・東京)を、平常時の1月末と、緊急事態宣言解除後の5月末とで比較すると、1月末を100%とした場合、5月末は99.2%で、同程度の水準であった。緊急事態宣言下のステイホーム期間では、在宅率上昇によりメディア接触時間やHUTなどの増加が報道されていたが、その変化は一時的なものであったことが判明した。

変化したのは時間ではなくメディアや情報への態度 「向き合う」「確かめる」「なごむ」

 新型コロナウイルスの危機の中で「新型コロナの情報は積極的に集めた」という率は60.2%。自由回答でも、メディアの情報のみならず、「記者会見を確認」「各種SNSを駆使」「信頼を求めてさまざまな場所に散らばる情報を丹念に追跡」など、メディアや情報に「向き合う」傾向が強まった。

 「メディアの伝えることの信頼性が気になった」65.1%、「情報の真意や鮮度に気をつけるようになった」47.5%など、メディアや情報の質を「確かめる」傾向が見られる。

 自由回答では「ラジオ、ニュースのキャスター、SNSのインフルエンサー」など、人間味のあるコンテンツで「なごむ」態度も目立った。外出自粛は解かれたものの、新型コロナウイルスの危機はまだ収束しておらず、こうしたメディアや情報への態度は、今後も継続していくと考えられる。

TV見逃し視聴サービス、radiko、雑誌定額制サービス、新聞社アプリ、SNSなどの利用率に変化

 情報態度の変化にともない、過去数年間、ゆっくりと伸張していたデジタル系の新しいメディアサービスの導入が、わずか4ヵ月間で「加速」。各年代で利用率を伸ばしている。新しい見られ方・聴かれ方の定着、世代別コミュニケーションや広告商品化の取り組みが、今後の課題である。

調査概要
  • 調査地区:東京都
  • 標本抽出方法:アンケートモニタ登録者から抽出
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象者:15~69歳の男女
  • サンプル数:@1200s ※性年代均等割付(100s×12層)で回収後、集計時に人口構成比にあわせてウエイトバック
  • 調査期間:
    [1]平常時 2020年1月29日(水)~2月7日(金)
    [2]緊急事態宣言解除後 2020年5月27日(水)~6月1日(月)