実践してきたナレッジを公開 デザインセンターが機能するために必要な3つのこと

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 どうやってチームをマネジメントしていくか――。そんな悩みを抱えている管理職の方も多いのではないでしょうか。本連載では、インターネットメディア事業を行っているキュービックでCDO(Chief Design Officer)を務めている篠原健さんに、「デザイナーのマネジメント」をテーマに解説していただきます。第4回は「デザインセンター制」についてです。

 今回は私自身がCDOを務めてきた会社で導入してきた「デザインセンター制」のナレッジを共有したいと思う。

 そもそも私がデザインセンター制を用いてきたのは、多くの企業がデザイナーに対しての理解が少なく、それが原因で起こる課題が多いと感じていたからである。私が実感していたのは、下記のような問題だ。

  • 社内受託になっている
  • 育成やキャリアビジョンを描かれていない
  • アサイメントが適切でない
  • 社内の販促物や外に出るツールなど誰も管理していなかった
  • 人事採用のポリシーがない
  • 新しいテストや挑戦が生まれない

 またデザイナーのマネジメントや育成、アサイメントなどは離れたところでのコミュニケーションではなく、近くで状況を見ながら適宜行っていく方が上手くいっていた手応えがあった。

 他社の企業代表やデザインマネジャーの方と話す機会があり、デザイナーに関する相談をすることがある。そこでよく耳にする課題は、育成、組織構築、事業へのコミットに関するトピックであることが多い。

 その中でもとくに話題にあがるのが、マネジメント問題だ。よく聞くのは、職能が違うメンバーがマネジメントをする場合に、デザイナーをどう扱っていいかわからない、デザイナーはいるがマネージャーをやりたがらない、といった悩みだ。所属していた組織でも、私が入社する以前は事業部制を用いていたり、デザイナー以外の方がマネジメントを行っていたケースもある。

 自分自身をコントロールしながら進めることができるメンバーが多かったり、そもそものメンバー数が少なければ成立すると思うが、人数が多くなるとまとめるのは難しい。

 そこで私は、育成やピープルマネジメント、事業へのマッチ具合など、いくつかの観点から一定経験のあるメンバーがトップに立ち、一括してマネジメントを行ったほうが良いのではないかと考え、デザインセンター制を採用するようになった。(もちろん会社それぞれのやりかたがあるので、事業部制やデザイナー以外のマネジメントが間違っているわけではないが、私自身はセンター制のナレッジが多く溜まったからとも言える)

デザインセンターの定義とは 実践した取り組みを振り返る

 まずデザインセンターの定義であるが、私は「さまざまなデザイナーやデザイン機能を集約した組織」であると捉えている。

 弊社のデザインセンターでは、UXチーム、UIチーム、ブランドデザインチーム、フロントエンドチーム、ディレクションチームの5つで構成されている。(なおこれらは現在のフェーズにおけるチーム編成のため、今後も形を変えていくだろう)

 それらを集約した各メンバーの評価や、アサイメントの最終権限も、最終センター長(部長)である私が行っており、そのうえでメンバーを事業に派遣する方法をとっている。

 下記は、デザインセンター制によって実現してきたことの一例だ。

  • デザイナーを一箇所にまとめる
  • キャリア形成のためのロールの明確化
  • 適切なアサイメントをするために事業部との交渉
  • 全社の業務フローの見直し
  • 適切なチーム構築と未来の組織構築のためにロードマップを作成する
  • 社内外のブランディング戦略、実行を担うためのチームを作成
  • 働きやすい環境整備
  • デザインセンター発の新規開発

 そんななかで弊社のデザインセンターが担う役割は、「広義のデザインが実現できている状態を作ること」である。

 デザインの介入によって、我々が作ったサービスや、そこに至るプロセスで⽣じたユーザーの「体験価値」向上を⽬指している。それによって競合他社との差別化をはかり、サービスだけでなく自社に好意的なユーザーを増やし、顧客満⾜度の向上などを意図的にはかることができる状態を作る。それを私たちは「広義のデザインが実現できている状態」と考えている。

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