運用型広告代理店がデザインを内製する意義とは アナグラム仙波さんがクリエイティブチーム立ち上げを語る

運用型広告代理店がデザインを内製する意義とは アナグラム仙波さんがクリエイティブチーム立ち上げを語る
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2021/03/11 08:00

 今回話を聞いたのは、インターネット運用型広告事業を中心に展開し、企業のマーケティング支援を行っているアナグラム。言葉のとおり、同社は企業のリスティング広告やFacebook広告などの運用代行を生業としているため、BtoB向けのプロダクトやサービスをもっているわけではない。そんなアナグラムが、2020年10月にクリエイティブチームを立ち上げたというのだ。なぜ専属のチームをつくることになったのか。またチームとして始動したことで気づいた社内における“デザイン”の捉えかたとは――。クリエイティブチームのリーダーをつとめる仙波勇太さんに伺った。

デザイナーながら約4年間広告運用に従事 チームリーダーもつとめた仙波さんの歩み

――まずは仙波さんのご経歴から教えていただけますか?

もともとはウェブデザイナーとして新卒で働き始めました。そこでECサイトの開発支援を一貫して行う会社にいました。そこで8年ほどデザインを中心にECに関する業務に広く携わりました。

当時デザイナーとしては、ECサイトのデザインを整えてコンバージョン率を上げるということがいちばんの目標だったのですが、まず私自身がサイトに人を呼ぶためのノウハウを学ばないと、デザインの力を売上につなげることができないのではないかと感じるようになりました。いわゆる穴空きバケツで例えられるような、たくさんの人にサイトにきてもらってもサイトが整っていないと意味がない、とは逆の状態になってしまっていて……。いくらバケツをきれいにしても、そもそも水が流れてこなければ始まらないと思ったんです。

そこでウェブデザインと親和性の高い集客方法はなにかと思ったときに、運用型広告の知識を身につけるのがよいのではないかという考えにいたり、いちばんに想起したのがアナグラムでした。代表・阿部のツイッターアカウントをフォローしていたり、アナグラムのブログを見ていたことがきっかけで、以前から知っていたんですよね。縁があり入社したのは2016年の9月です。

アナグラムのブログ。運用型広告の最新情報やノウハウなどを定期的に発信している。
アナグラムのブログ。運用型広告の最新情報やノウハウなどを定期的に発信している。

入社からしばらく経ち、運用型広告の自動化が急速に進んだことで、管理画面をみながら1日中入札単価を調整するといった設定の重要度が下がってきていました。初期の仮説や設定が非常に重要なのは前提としつつも、その後の運用のフェーズでは誰が行ってもそこまで大きな差が生まれないとするならば、自動化の波もまだきていないクリエイティブが運用型広告の明暗をわける――。それが、代理店や運用者の間では長年の通説でした。

そんな中で、ウェブデザイナーというキャリアの私が採用されたのは、いま思えば、クリエイティブチームの立ち上げも期待してもらっていてのことだと思います。

結果的に、私はクリエイティブの影響が多大にあるソーシャルメディアの専属チームへ配属されました。ただ、入社してからチームが立ち上がるまでの期間は、社内発注でもアウトソースでもデザインを委託するという基盤が社内になかったことなどもありデザインの業務を行う機会はあまりなく、広告運用が業務の中心でした。

運用は前職でもほとんど行っていませんでしたが、集客や広告のスキルを身につけることが転職の大きな目的だったので、やらせてもらえるならやってみたいという思いでスタートし、最終的には広告運用チームのチームリーダーもつとめました。

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