ソーシャルメディアのフォロワーや収益が信用となる未来
ソーシャルメディアは社会に広く認知されているものの、「ソーシャルメディアクリエイター」という職業に対する認知は低いままだ。
そのため、フルタイムのビジネスとしてコンテンツ制作しているクリエイターであっても、必要な金融サービスを利用することができず、コンテンツ制作に支障をきたす場合が少なくない。
アメリカのメディア「Wired」の記事は、スペンサー・ドネリー氏の事例を伝えている。
当時YouTubeの登録者が270万人だった同氏。ゲームYouTuberとして年間収益が200万~300万ドルあるにもかかわらず、所有する既存クレジットカードでは限度額が2万ドルであったという。コンテンツ制作のため、新しいゲーミングパソコンを購入しようとしたが、限度額を超えたためパーツを少しずつ取り寄せて、パソコンを組み立てることになった。
Creative Juiceの取り組みはこのクリエイターの金融問題を解決するものだが、同社以外にもこの問題の解決に取り組む企業がいくつかある。
ひとつはソーシャルメディア・クレジットカードのKaratだ。クリエイターのソーシャルメディアの登録者や収益を信用として、クレジットカードを発行。伝統的な金融機関のクレジットカードに比べ、優遇的なサービスを提供している。
現在流通している「Karat Black Card」は、インフルエンサー向けのブラックカードと呼ばれ、クレジットカード比較サイトにも登場している。比較サイト・Finderよると、Karat Black Cardの発行条件はソーシャルメディアのフォロワーが10万人以上。カードの発行が承認された時点で250ドルが付与され、コンテンツ制作にかかるカード利用で、購入額の3〜5%がキャッシュバックされるという。
YouTubeのスーザン・ウォジスキCEOが2021年1月に公開したレターでは、同年の注力分野のひとつとして「クリエイター・エコノミーの拡大」という文言が盛り込まれたところ。KaratやCreative Juiceなどの取り組みも相まって、2021年以降はクリエイターがより活躍できる環境が整備されていくことになるはずだ。