生活の一部と化したソーシャルメディア、日本のYouTube人口は6500万人
かつて若い人のみが使うイメージが先行した「ソーシャルメディア」。今では、年齢に関わらず利用者が増え、新聞やテレビがそうであったように生活インフラの一部となっている。
その普及具合は、市場の成長スピードから見てとれる。調査会社IBIS Worldによると、アメリカのソーシャルメディア市場は、2021年前年比16.5%増の614億ドル(約6兆6780億円)となる見込み。2016〜2021年までの年間成長率は21.6%と、驚異的なスピードで拡大していることがわかる。
日本のYouTube市場を見ても、ソーシャルメディアが生活インフラとなりつつあることがわかるだろう。
YouTubeが2020年12月末に発表したデータによると、日本のYouTube利用者は同年9月時点で6,500万人となり、人口の半数以上がYouTubeを視聴していることが判明。また、自宅エクササイズ動画や料理動画の視聴回数が400〜450%増加するなど、普段の生活に欠かせない存在になっていることも示唆された。
米トップYouTuberらが有望クリエイターに投資するファンドも
若者だけでなく全世代が利用するようになったソーシャルメディア。さらに基盤を強固にするには、質の高いコンテンツを一層拡充していくことが求められる。
しかし現在クリエイターのほとんどが個人クリエイターであり、経済・社会的に弱い立場にあるとも言える。可能性のあるクリエイターであっても、資金難などでコンテンツ制作が滞ることも少なくない。
ソーシャルメディア世界最大市場のアメリカでは、この状況が大きく変わるかもしれない取り組みが開始されようとしており、その行方に関心が集まっている。
アメリカトップYouTuberらが駆け出しクリエイターらに資金を投じ、コンテンツ制作を支援。将来の収益から配当を受け取る株式のような取り組みだ。2020年に設立された企業・Creative Juiceがそれを主導する。
同社は「Juice Funds」というファンドを開設。トップYouTuberらから資金を募り、有望な駆け出しクリエイターらに資金を投じていく。資金を投じるトップYouTuberには、登録者6,200万人越えのMr.Beastなど、そうそうたるメンバーが名を連ねる。
Creative Juiceのウェブサイトによると、Mr.Beastことピーター・ドナルドソン氏は、有望なYouTubeクリエイターに2万5000ドル(約270万円)〜25万ドル(約2700万円)、計200万ドルを投じる計画だという。
この取り組みの詳細はまだ明らかにされていないが、近日中にCreative Juiceから、どのようなクリエイターが投資対象になるのかなどの情報が発表されるとのことだ。
Creative Juiceはクリエイターへの資金援助だけでなく、クリエイターの資金管理の強化にも乗り出す。
ソーシャルメディアクリエイターは、さまざまなプラットフォームから収益を得ているが、現在その収益予測や管理は各プラットフォーム上で行わなくてはならない。Creative Juiceは、各プラットフォームの収益情報を統合するツールを開発しており、これによってクリエイターは、YouTube、インスタグラム、Patreon、Shopifyなどからの収益を一括で管理できるようになる。