アドビのAdobe Embedded Print Engine、エプソンの商業・産業向けインクジェットプリンターに搭載

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2021/08/02 05:30

 アドビは、PDFに最適化された組み込み型プリント・エンジンのAdobe Embedded Print Engineが、セイコーエプソン(以下、エプソン)の商業・産業向け大判インクジェットプリンターSureColorシリーズ「SC-T7750D」「SC-P8550D」のPSユニット(※)で採用されたことを発表。Adobe Embedded Print Engineはこれまでおもにオフィス複合機に搭載されていましたが、大判プリンターで採用されるのは初めてとなる。

※PSユニット:PostScriptにより数式であらわされた色や文字、形などの情報をプリンターで印刷するためのレンダリングシステム。

 エプソンのSureColorシリーズは高品位なPOPやポスター向けの大判プリンターで、「SC-T7750D」は鮮やかな赤色を再現する6色の「UltraChrome XD3インク」、「SC-P8550D」はグレーインクを含む「UltraChrome PRO 6インク」を搭載している。また、奥行き50センチのコンパクトな設計ながら、2.64インチ大型ヘッドを搭載、ロール紙ユニットはダブルロールモデルを採用するなど、高い生産性を持つモデル。

 Adobe Embedded Print Engineは、高度なカラーマネジメントテクノロジーにより、これまで組み込み型プリンターでは難しかった、PDFデータに組み込まれた以下のような色彩表現を忠実に再現する。

  • 透明効果のブレンド:下地に透明なオブジェクトを重ねること。
  • ICCカラープロファイルのサポートによる忠実な色表現(モニターの色空間から印刷の色空間へ変換)。
  • スポットカラー:コーポレートカラーなど(ロゴ)のより忠実な色表現。

 現在、店頭などで貼られるPOPやポスターの多くがPDFで入稿されていますが、色の重なりなどのデータが複数のレイヤーになる場合、印刷した際にレイアウトやフォントが崩れるなどの問題があった。Adobe Embedded Print Engineは、最新のコンピュータープロセッサが持つ複数のコアに対し印刷処理の指示を分散・並列して出しているため、複雑なグラフィックスを高速でレンダリングすることができる。

Adobe Embedded Print Engine おもな特徴

ネイティブのPDFレンダリング機能とPostScriptレンダリング機能

  • アドビの最新のレンダリングエンジン、フォントエンジン、グラフィックエンジンを搭載。
  • リソース制約のあるデバイス向けに最適化。
  • オフィス・大判プリンター向けのあらゆるプリンターをカバーするスケーラビリティ。
  • 標準非準拠のPDFファイルの処理において、Adobe Acrobatと一貫した動作を実現。

 アドビはCreative Cloudと共通したテクノロジーとAdobe Sensei(AI)をPDFによるプリントワークフローへ応用させている。アドビは今後も、画面表示から印刷まで一貫した色とレイアウトのデータ再現性を追求し、印刷業界におけるクリエイティビティの表現向上に貢献していく。