AIを活用しCXで成果をあげる Zendesk最新レポートから考える、今押さえるべき「5つの主要トレンド」

AIを活用しCXで成果をあげる Zendesk最新レポートから考える、今押さえるべき「5つの主要トレンド」
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2025/03/21 08:00

 クリエイティブやテクノロジー領域を中心に、海外で話題のトピックをお届けする本連載。今回は、Zendeskの最新レポートから「CXへのAI活用」を紐解きます。

 AIは今、カスタマーエクスペリエンス(CX)の領域にも革命をもたらしている。AIを迅速に導入しCX戦略に深く統合している企業は、先行してAIベースのソリューションから大きな価値を引き出している。

 そうしたなか、Zendeskが今回で7回目となる調査レポート「Zendesk CX Trends」を発表した。

 本レポートは、22ヵ国において、5,000人以上の消費者と5,500人以上のビジネス関係者を対象に調査を実施。彼らがなにを最重要視し、なにに悩んでいるのかを分析したものである。それらをふまえ、2025年以降、CX領域でビジネスリーダーや組織がAIの可能性を最大限活用し、目覚ましい成果をあげるための5つの主要トレンドを特定した。

AIを活用する企業と、そうでない企業との間で広がる差

 Zendeskによれば、まずAIを早期に採用した企業はCXにおいて、AIツールから高いROI(投資対効果)を得る確率が128%も高いことがわかった。

 しかし、すべての顧客や従業員の体験がこれらのツールによって変革されているわけではない。

 消費者は、すでに高度なAIを活用したやりとりに慣れ、それを期待するようになっているため、ブランド体験の違いを容易に察知する。実際に、消費者の約4分の3が、「カスタマーサービスにおいてAIを効果的に活用している企業と、そうでない企業の間には明確な差が生じている」と答えている。

 また、カスタマーサービス担当者の間でも変化がみられる。ほぼ半数の担当者が、職場での業務遂行のために、「シャドーAI(企業が承認していない外部のAIツール)」を利用していることが判明した。特定の業界では、シャドーAIの使用率が前年比で250%も急増しており、これは企業にとって深刻なセキュリティリスクをもたらすことを意味している。

 AIを積極的に活用するCXリーダー「CXトレンドセッター」の代表格が「Lush」。同社は、その成果の一例として、「82%」のワンタッチ解決率(最初の顧客対応で解決する割合)を達成している。

Lushの店舗(出典:Zendesk)
Lushの店舗(出典:Zendesk

 一方、「CXトラディショナリスト」は、予算不足・知識不足・社内のサポート不足といった理由から、往々にしてAIの導入を遅らせている。しかし、59%のCXトラディショナリストが、今後1年間でよりAI主導のアプローチを採用したいとも考えている。

トレンド(1)AIコパイロットの成功から始まる、企業の次世代自律型サービスの導入

 「AIコパイロット」の導入により、企業とエージェントの双方が恩恵を受けている。

 エージェントは単純作業の負担が軽減されることでより重要な業務に集中でき、企業は業務の効率化や収益向上を実現している。とくにCXトレンドセッターはこの技術を積極的に導入し、高いROI(投資対効果)を得ている。

 AIコパイロットの普及により、企業は次のステップとして「自律型サービス」へ移行を進めている。

 CXトレンドセッターの90%は、数年以内に問題の80%が人の介入なしに解決されると考えている。一方、導入が遅れる企業では、エージェントが非公式なAIツール(シャドーAI)を使用する傾向があり、セキュリティリスクが増大している。

 成功事例として挙げられたのは、グローバル小売企業のNEXT。AIコパイロットを導入し、メール対応時間を11%削減するなどカスタマーサービスの質を向上させている。

 今後、CXリーダーは「AIエージェント」「高度なワークフロー」「生成AI検索機能」などの技術を統合し、自律型サービスモデルの確立を目指す。2027年までに、CXトレンドセッターは従来型企業の2倍の速さで移行を進める見込みであり、競争力を維持するためにはAI導入が急務となっている。

トレンド(2)消費者のAIエージェントへの信頼は人間らしさが重要なポイント

 AIエージェントの進化により、企業はより高度なCXを提供できるようになっている。

 成功のカギは、AIエージェントに「人間らしさ」を持たせること。CXトレンドセッターは、AIのフレンドリーさや共感力、創造性を重視し、より自然な顧客対応を実現している。その結果、パーソナライズされた商品推薦やカスタマイズ対応を強化し、競争力を向上させている。

 調査では、68%の消費者が「AIが人間らしい特性を持つほど信頼しやすくなる」と回答。世代別ではミレニアル世代(72%)がもっともAIの人間らしさを求めており、CXトレンドセッターの73%がこの重要性を認識している。

 成功事例として、ドイツの電機メーカー SIEMENSはAIエージェントを活用し、請求書送付の自動化や先回りした顧客対応を実現した。これにより、業務の効率化と顧客満足度の向上を達成している。

 今後の戦略として企業は、(1)パーソナライズされたAIエージェントの導入、(2)フレンドリーさ・共感力・創造性の強化、(3)定期的なパフォーマンス測定を行い、AIの最適化を進めることが求められる。

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