[最終回]施策実施後のレポーティングでなにを意識すべきか そのポイントと手順を解説

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ツールだけではわからない“使い勝手”を知るために 実際の例を紹介

 ここまで分析やレポートについてお伝えしてきました。私たちはデジタルを主戦場としているため、分析に使用するデータの収集もGoogle Analyticsなどを活用し、オンライン上で完結することがほとんどです。ですがときに、実際のユーザー行動をみながら分析をする場合もあります。ここでは実際にクライアントから、「分析のための指針を立てたいので、ユーザー調査をしてほしい」相談を受けたケースを紹介します。

相談の概要

  • クライアント:配信サービス事業を手掛ける会社
  • 与件:スポーツメディアをリニューアルするための指針を立ててほしい
  • ポイント:競合比較も含め、メディアに対する総合的な印象を知りたい。

 このケースでのポイントは、デジタルの数値のみではわからない「使い勝手」が知りたい、ということでした。

 私たちが「使い勝手」について分析する場合、コンテンツごとのPV数や滞在時間、読了率、内部遷移などのデータを用いながら、知識と経験をもとに考察を立てることがほとんどです。ただ今回は、「リニューアルを機に実際の声を聞いてみたい」という要望をいただいたため、パートナー会社さんと協力し、ユーザーインタビューを行いました。

 事前にアンケートでモニターの方を募集し、「対象メディアを日頃より利用している方」「競合メディアを日頃より利用している方」に協力してもらいました。

 「昨日の試合結果を探してください」「TOPページを下までスクロールして、その印象を教えて下さい」という質問をしながら、使い勝手を調べるという目的に沿うようにテストケースを作成し、モニターの方に実行してもらいます。予想通りの点もあれば、まったく想像していなかった意見もあり、日頃デジタル上の分析ツールを見ているだけではわからない部分も多々ありました。

 モニター調査を終えると、既存の数値データ、メディアと競合を比較した際の我々としての考察、調査による結果などを照らし合わせ、現状を分析します。ここでのポイントは、競合よりも勝っていた部分や改善すべき点をしっかり伝えること。これらに競合企業の情報も参考にしつつ、方針をまとめていきます。

 そしてリニューアルへ向けたレポーティングへと入るのですが、このケースでは、レポーティングそのものの方針策定も行いました。

 クライアントのこれまでのレポート内容から、ユーザーの回遊度合いを確認するための計測タグなどの設置を提案。またモニター調査でデザインに関する意見もいただいていたため、それらを反映したデザインのイメージも提案した結果、クライアントも「ほかのサービスでも同じことをやってみたい」と満足していただくことができました。

 デジタルの効果測定というと、ひたすら分析ツールの画面をみながら数字を追っていくイメージが強いかもしれませんが、それだけではありません。ユーザーのリアルな声や、それが難しい場合はSNSでの投稿をみたり、外部でどのように取りあげられているかを調べたり、競合や類似ケースではどうだったのかを確認したり……。そうやって視野を広げることで、ただツールの結果を提示する以上の分析ができるのではないでしょうか。

 5回にわたりお送りしてきた連載も今回が最終回となります。記事をご覧いただいたみなさんに、少しでも日頃に活かせるヒントをお届けできていれば幸いです。