こんにちは。「組(くむ)」の安積(あさか)です。私はデジタルを専門とするプロデューサーとして、クライアントが抱えるマーケティング課題をデジタルの力で解決することを仕事としています。
本連載ではこれまで、「オリエンテーションの心構え」、「企画の考えかた」「提案」「パートナーとの関係構築」とお伝えしてきましたが、最終回となる今回は、施策実施後の「分析とレポート」がテーマです。
分析やレポートが必要な理由
まず、プロデューサーが分析をすべき理由をスキルアップの面から考えてみると、「知見の貯蓄」と「クライアントに満足してもらう」ためではでしょうか。
私たちの仕事内容は決められたパッケージがあるわけではないため、施策によって効果や成果もバラバラです。新たなプロジェクトを進めるたびに、手探りの状態で進めることも多いです。
そんなとき頼りになるのがこれまでの経験です。「過去にこんなことをしたら、結果がこうなった。そのため、今回もこういった結果になることが予想できます」。このように、何度提案したかわからないくらい、いままでためてきた知見が判断基準となることが多いです。
ふたつめの「クライアントに満足してもらう」についても、レポートや分析によって結果をまとめ、振り返りを丁寧に行うことで、次もお願いしたいと相手に思ってもらえる可能性が高くなると感じます。
“良いレポート”とは? 作成前と作成中に心がけているポイント
それでは実施後にどのようにレポーティングすることが、“良いレポート”になるのでしょうか。ここからは作成前と作成中に意識しているポイントをご紹介します。
レポート作成前
作成前に考えるのは、レポートがクライアント担当者の手にわたったあと、どのようにクライアントの中を回っていくのかということです。そう考えると、担当者さんが社内で上長や関係者に報告をする際に報告しやすい内容が、良いレポートの条件のひとつではないかと私は考えています。
「報告しやすい」というのは、見やすさや理解しやすさという要素もありますが、「報告をした際に良い印象を与えることができるか(相手が求めるものがわかっているのか)」も大切です。そのため、相手が求めるものがわかっている場合は、レポートではそこを中心に取り上げるようにします。多くの場合KPIが定められているので、どのようにKPIにコミットする(指標を立てる)のがよいかを考えるのも良いでしょう。
反対に、クライアントの中でKPIなどの指標が明確に定まっていない場合、まずはヒアリングから始めます。「なぜやるのか(KPIを明確にする)」、「これまでどのような取り組みが評価されてきたのか(指標の見当を立てる)」を引き出し、分析の目的を立てていきます。それ以外にも、過去にクライアントが実施した施策の結果や、調べられる範囲での競合他社の数値といった比較材料を探しながら、レポートをするための土台づくりをします。
レポート作成中
設定した分析の目的に対する結果や考察はもちろん記載しますが、レポートをより充実したものにするためのカギは、それ以外の情報を集めることができるか、という点です。そのために私は、KPIに直結しない箇所についても調べるようにしています。
ウェブサイトに関するレポートであれば、サイトへの流入経路でもっとも多いのはどこか、どのような属性のユーザーが多いのか、滞在時間はどれくらいかといったこと。またキャンペーンであれば、SNSでのソーシャルリスニングや外部のメディアへの取り上げられかたなど、周辺情報をあたり、良い部分を探します。調べるなかで課題点が見つかった場合には、どのようにすれば改善できたのかを丁寧に振り返ることも心がけています。
これらを意識しながら分析、レポートを進めることができれば、内容も充実することでしょう。良かった部分は伝えながらも、改善すべきところはしっかり反省する。これが、レポートを作るときに意識していることです。