メタバースをつくるためにクリエイターが知っておくべきことは? 必要な3DCGのスキルや制作工程を解説

メタバースをつくるためにクリエイターが知っておくべきことは? 必要な3DCGのスキルや制作工程を解説
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ビジネスシーンのトレンドワードとなった「メタバース」。本連載では、クリエイティブの視点からメタバースの基本やその体験設計についてお伝えします。解説するのは、エンタープライズ向けにメタバース構築支援などを行うスタートアップ企業・Synamonで開発責任者をつとめる西口雅幸さん。アニメや映像業界でフリーランスのモデラーとして10年以上活動した後、Unityエンジニアに転身した人物です。第3回は「メタバースをつくるためにクリエイターが知っておくべきこと」についてです。

 こんにちは。株式会社Synamonで開発責任者をしている西口です。

 これまで、メタバースの基本から空間設計や体験設計について紹介しました。第3回では、これからメタバース領域での創作活動にチャレンジしていきたいクリエイターの方に向け、メタバースをつくるために必要なスキルセットについて考えていきます。

メタバースの構成要素

 メタバースは、どのような要素で構成されているのでしょうか。制作という観点から考えると、大きく3つにわけることができます。

アバター

ユーザーの分身となるキャラクターのことを指し、メタバース空間ではアバターを操作して活動します。基本は人型ですが、なりたい姿になれることがアバターの利点なので、動物やロボットをアバターにすることもあります。

プロップ

プロップとは、ボールや机や銃などの小物類のことを指しますが、本記事ではユーザーが触ることができる小道具全般を指す言葉として解説していきます。

ワールド

建造物や自然物などの背景を組みあげてつくられた空間で、ユーザーがアバターをとおしてさまざまな体験をする世界そのものとなります。背景、環境、シーンなど文脈によって呼びかたが変わりますが、本記事では「ワールド」で統一してお伝えしていきます。

 これら3つの要素はどれも3Dアセットによって構成されていて、それぞれにエフェクト、アニメーション、サウンドなどのコンポーネントを足していくことでよりリッチな世界観を表現することができます。たとえば花火演出や爆発などのエフェクト、アバターの表情アニメーション、小鳥のさえずりや街の雑踏といった環境音なども、すべて組みこんでおく必要があります。

メタバース制作で用いられるツールを紹介

 次に、メタバースはどのようなツールを使ってつくられていくのかを見ていきましょう。メタバース制作ではおもに3DCGのアセットを作成するためのDCCツール(Digital Content Creation Tools)とゲームエンジンを使用します。

DCCツール(Digital Content Creation Tools)

おもにモデリング、リギング、アニメーション作成に使用します。有料のもの、無料のものなどたくさんのツールがありますが、弊社ではMaya、Modo、Lightwave、Blenderなど、デザイナー自身が使いやすいツールをそれぞれ使用しています。そのほかには、2D作業全般でPhotoshopやGIMPといった画像編集ソフト、テクスチャ作成のためにSubstancePainterのような専用ツールを使用します。これらを総称したものが、DCCツールです。

ゲームエンジン

ゲーム作成のための統合開発環境です。3Dの空間にカメラやライト、アセットを配置し、プログラミングしていくことでインタラクティブなコンテンツを作成することができます。広く知られているゲームエンジンにUnityとUnreal Engineがありますが、弊社ではおもにUnityを使用しています。(参考:CGWORLD用語辞典

※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。