今こそおさえておきたいメタバースの基本と活用事例とは XR領域の最前線にいるSynamonが解説

今こそおさえておきたいメタバースの基本と活用事例とは XR領域の最前線にいるSynamonが解説
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 ビジネスシーンのトレンドワードとなった「メタバース」。本連載では、クリエイティブの視点からメタバースの基本やその体験設計についてお伝えします。解説するのは、エンタープライズ向けにXR技術を使ったさまざまなソリューション提案を行うスタートアップ企業・Synamonで開発責任者をつとめる西口雅幸さん。アニメや映像業界でフリーランスのモデラーとして10年以上活動した後、Unityエンジニアに転身した人物です。初回となる今回は「メタバースとはなにか」についてです。

 2021年11月、Facebookが「Meta」に社名を変更したことで急激に話題になったメタバースですが、メタバースとはどういったもので、一体何ができるのか、いまいちイメージがしづらいという方もいらっしゃるかもしれません。

 本連載では、デザイナー兼エンジニアのバックグラウンドを持つ開発者としての視点を交え、XR・メタバースの最前線にいるSynamonが感じていることを3DCGモデリングとエンジニアリングの両面からお伝えしていきます。

各回のテーマ(予定)

  • 第1回:メタバースとはなにか?
  • 第2回:メタバースの空間設計と体験設計
  • 第3回:メタバースをつくる クリエイターが知っておくべきことは
  • 第4回:これからのメタバースはどうなる?未来のメタバースの話

まずはおさえておくべき、メタバースにまつわる4つのポイント

 メタバースにはいろいろな定義がありますが、私は「3DCG技術でバーチャルな世界を構築し、複数人が同時にそのバーチャル空間にアクセスした上で、さまざまな活動ができる仕組み」だと捉えています。

 メタバースという言葉は、ニール・スティーヴンスンの著書『スノウ・クラッシュ』で登場するインターネット上の仮想世界として、初めて登場しました。それ以前にもコンピューター上に作られた仮想世界で活動するという考えかたは存在していましたし、『スノウ・クラッシュ』以後にもメタバース的世界観を題材にしたSF作品は多くありました。

 『マトリックス』や『レディ・プレイヤー1』、『サマーウォーズ』などの映画では、それぞれ異なっているもののメタバースをイメージする際の共通言語として登場することも多いので、観てみることをオススメします。損はないでしょう。

 まず、メタバースについておさえておくべきポイントは、次の4つです。

  1. コンテンツや体験が生まれる場・空間
  2. 自身の分身となるアバター・アイデンティティ
  3. 友達同士によるリアルタイムなコミュニケーション
  4. 価値を生み出す・経済活動が行えるエコシステム

 『レディ・プレイヤー1』のオアシスや『サマーウォーズ』のOZは、これらの要素をすべてを満たしていると言えるでしょう。

 一方「XR」とは、バーチャルとデジタルをかけ合わせるさまざまな技術の総称です。ここで、VR、AR、MRの概要についても触れておきます。

  • VR(Virtual Reality/仮想現実あるいは人工現実感):人工的に作られたデジタルな空間に入り、まるで現実のような体験をすることができる技術。
  • AR(Augmented Reality/拡張現実):現実の空間にデジタルな情報を付与することで現実世界を拡張させる技術。
  • MR(Mixed Reality/複合現実):考えかたとしては、ARとほぼ同義。現実とバーチャルな世界を重ね合わせる技術。

 つまりXRは、バーチャルとリアルの垣根を超えて人間の活動範囲が広がったメタバースの世界を支える要素技術のひとつとして注目されているのです。

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