メタバース空間を設計するポイントは? 企業が意識すべき体験設計の勘所を解説

メタバース空間を設計するポイントは? 企業が意識すべき体験設計の勘所を解説
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 ビジネスシーンのトレンドワードとなった「メタバース」。本連載では、クリエイティブの視点からメタバースの基本やその体験設計についてお伝えします。解説するのは、エンタープライズ向けにメタバース構築支援などを行うスタートアップ企業・Synamonで開発責任者をつとめる西口雅幸さん。アニメや映像業界でフリーランスのモデラーとして10年以上活動した後、Unityエンジニアに転身した人物です。第2回は「メタバースの空間設計と体験設計」についてです。

 こんにちは。株式会社Synamonで開発責任者をしている西口です。

 第1回ではメタバースとは何かについて事例を交えて紹介しました。第2回では、メタバースを構築する際の空間設計と体験設計についてお伝えしていきます。

各回のテーマ(予定)

  • 第1回:メタバースとはなにか
  • 第2回:メタバースの空間設計と体験設計
  • 第3回:メタバースをつくる!クリエイターが知っておくべきことは?
  • 第4回:これからのメタバースはどうなる?未来のメタバースの話
連載初回で提示した、Synamonが考えるメタバースの定義
連載初回で提示した、Synamonが考えるメタバースの定義

メタバースにおけるUIとUXとは

 ユーザーの体験を語るときに用いられる「UI」や「UX」という言葉。メタバースの空間設計と体験設計についてお伝えする前に、まずは一般的な「UI」と「UX」の考えかたから整理してみましょう。

  • UI(User Interface/ユーザーインターフェース):ユーザーとシステムをつなぐ接点、入力方法や表示部分のこと。ユーザーはUIを通してサービスを操作する。
  • UX(User Experience/ユーザーエクスペリエンス):ユーザー体験のこと。ユーザーがサービスの利用前→利用中→利用後まで含めてどのような体験や経験をするのかを指す。

 「UI/UX」とまとめられることも多いですが、概念としては別物です。操作しづらいUIはユーザー体験の質を下げてしまうので、デザイン設計の要素として同列で語られることが多いように思います。

 ではここからは“メタバース”のUI/UXについて考えていきましょう。

 大前提として、現時点ではまだメタバースの活用は一般的になっておらず、「ユーザーがどうやって空間にアクセスするのか」から丁寧に設計する必要があります。つまり空間内での操作性やわかりやすさ(UI)を磨くだけではなく、空間に入る前の体験(UX)も設計しなければ、ユーザーを置き去りにしてしまう可能性が高いのです。

 今、このタイミングでメタバースに取り組むからこそ、ユーザーの一連の体験を想像しながら空間内をデザインしたり、UXとUIの両方を考えることができる視点がクリエイターには求められます。VRデバイスだけでなくPCやスマホからも体験できるようにするのか、どこかのプラットフォームを活用するのか・独自で開発するのか……。こういった細かな条件が体験設計にも影響する点は、黎明期ならではのポイントかもしれません。

 今回の記事ではクリエイター向けに空間内の体験設計にフォーカスしていきますが、業がメタバースを活用する場合は空間に入るまでの体験設計も重要であるという点をぜひおさえておきましょう。

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