滋賀県とカヤックがローカルDX実現に向け連携 移住スカウトサービスとコミュニティ通貨で地域活性化へ

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2022/05/12 06:00

 滋賀県とカヤックは、滋賀県のDX推進による、地域の魅力発信・関係人口の拡大と地域コミュニティの維持・活性化を図ることを目的に、連携協定を締結した。

 カヤックのもつデジタルプラットフォームである移住スカウトサービス「SMOUT」およびデジタル地域コミュニティ通貨「まちのコイン」を滋賀県に導入し、ローカルDXの実現に貢献する。なお、カヤックが自治体とDXに関する連携協定を結ぶのは初めてとのこと。

 コロナ禍は、密を避ける行動や複業の普及、テレワークをはじめとする働き方の多様化など、大きな変化をもたらした。この変化は人口にも影響し、2021年は東京23区が現在のかたちで取り始めた2014年以来初めて転出超過となった。また、転入超過は10都道府県で、関西圏の大阪府、滋賀県は転入超過となった。

 東京一極集中の流れが緩和されている傾向のなか、地方での豊かな暮らしへの関心が高まっている。

 都市圏では若い世代(20代から40代が全体の7割)を中心として地方移住に関心が高く、「SMOUT」の登録者数も2022年3月末で前年同月比の1.5倍に。また、滋賀県においても移住相談件数、移住セミナー参加者数および移住者数が増加傾向にある。

 一方で、滋賀県内でも過疎地域が追加されるなど、少子高齢化、事業継承者をはじめとする地域づくりの担い手不足拡大の地域課題がある。こうした地域課題に対し滋賀県は、地域づくりへの主体的な参画やイベントなど地域交流に参加する全国の「関係人口(訪問系)」を呼び込むため、官民が連携したデジタル戦略が必要と考えカヤックとパートナーシップを組むこととなった。

 「多様な人がつながり、活躍できるローカルDXの実現に向けた協定」では、カヤックのもつデジタル技術を活用し、全国から各分野で活躍する人と滋賀県との関係性を深化させ、地域交流やまちづくりへの参加を促すことで地域活性化と持続可能な地域運営を目指す。

具体的な取り組み

移住スカウトサービス「SMOUT」を活用した関係人口の拡大

 滋賀県は全国への効果的な発信に向けて、移住・関係人口のデジタルプラットフォームである「SMOUT」を滋賀県および県内13市町に導入。これまで県や各市町、民間業者が各自のプラットフォームで発信していた地域情報やユーザーの情報を同プラットフォームのデータベースに一元化し、可視化。また、登録者と地域が双方向にコミュニケーションがとれる同プラットフォームの特徴を活かし、滋賀県との「かかわりづくり」を進めることで、県内の地域課題などに対する人材をマッチングしていく。

SMOUTを導入する市町

大津市、彦根市、長浜市、近江八幡市、甲賀市、湖南市、高島市、東近江市、米原市、日野町、愛荘町、甲良町、多賀町

SMOUTサイト
SMOUTサイト
プロジェクト紹介
プロジェクト紹介

地域活性化のためデジタル地域コミュニティ通貨「まちのコイン」を導入

 「まちのコイン」を滋賀県内で導入する予定。同通貨を導入することで、地域ごとの価値や可能性を掘り起こし、お金で買えない「つかう」「あげる」体験を提供していく。またコインを媒介に、地域を訪れる、巡る人を増加させ、地域内外の人が楽しみながらつながりを深めることで、「まちのにぎわいづくり」を目指す。

地域のデジタル人材育成

 カヤックは地域の実情把握とデジタル技術の活用に秀でたエリアコーディネーターを滋賀県内の事業者と連携することで配置し、「SMOUT」と「まちのコイン」を効果的に運営するための支援を行う。

今後の展望

 「SMOUT」と「まちのコイン」を使って、関係人口の可視化、関係人口情報の共有化、官民連携とDX人材の育成を実行し、移住促進と関係人口創出を目指す。

 次年度以降は、両サービスのデータを活用し、Society5.0の考え方であるサイバー空間とフィジカル空間を融合する知見を得て、滋賀県の政策立案に貢献することも目指すとのこと。