三井住友海上、メタバースが浸透した未来を見据えたプロジェクト始動 GDHメタ開設、VRイベント出展も

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2022/05/17 06:00

 MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上火災保険は、中長期的な社会変革を視野に入れ、外部知見を積極的に活用する社内外横断のプロジェクトを展開する。プロジェクト第1弾として、仮想空間であるメタバースが浸透した未来を見据えた「メタバースプロジェクト」を3月から始動。新たなビジネスをデザインするメタバース上の拠点「GDH(グローバル・デジタル・ハブ)メタ」の開設と、世界最大のVRイベントであるバーチャルマーケットへ出展する。

 官民連携による宇宙開発の進展やAIによる自動運転技術の向上など、経済や産業構造、社会の在り方は急激に変化している。あらゆるリスクに対応する保険会社にとっても新たな領域に果敢に挑戦し、イノベーションを積極的に生み出す取り組みが求められている。

 コロナ禍を契機に、メタバース市場は2020年の5,000億ドルから2024年に8,000億ドルに成長すると予測されている。現在はゲームやライブなどのエンタテインメント、社会交流の場としてのプラットフォームが中心だが、NFT(非代替性トークン)を始めとするブロックチェーン技術の導入により、今後はメタバース上の経済活動が活性化すると見込まれている。

 一方で、メタバースの普及により関連する技術や利用者の不確実性は増し、予想外の損失が発生するリスクもある。同社は、メタバースで発生する損失を補償する商品・サービスの提供などを通じて、メタバースのさらなる普及とすべての人が安心して参画できる環境づくりを支援するために、同プロジェクトを立ち上げた。

 同プロジェクトの取り組み内容は、次のとおり。

GDHメタの新設

 メタバース上の新ビジネス創出拠点として「GDHメタ」を開設。社内外の多様なプレイヤーとの交流やメタバースを活用した保険ビジネス、新規事業の創出につなげる。

 同社は、2018年度からグローバル拠点への事業の相互展開や国内事業におけるシナジー効果発揮を目的に、米国をはじめ5つのGDHを展開してきた。今回、6つ目となる「GDHメタ」を開設し、仮想空間も含めた体制を構築する。

新たな商品・サービスなどの開発

 先端技術を活用した新規事業推進の知見を有するPwCコンサルティングと共同でメタバースが社会にもたらす変化を分析し、サービス提供者やプラットフォーマー、利用者などにおけるリスクの特定や損失を補償する商品・サービスを開発。さらに、メタバース業界団体への加盟や他業種の企業、専門家とも協議し、新たな価値観を持つ将来世代の消費者との対話の場として、実空間とメタバースを横断する新しい保険加入プロセスや顧客接点などを構想していく。

バーチャルマーケットへの出展

 VRイベント「バーチャルマーケット2022 Summer」に出展。開催期間は8月13日から28日の16日間で、新しい時代の到来に向けて保険のイメージを刷新するようなブースを企画しているという。

プロジェクトメンバー

 同社のコーポレート、損害サービス、営業の部門横断メンバーに加え、グループ会社であるMS&ADインターリスク総研、三井ダイレクト損保、外部企業のPwCコンサルティングなどで構成する。

 今後は、同プロジェクトをMS&ADグループ内にも展開するとともに、サイバーリスクや宇宙開発などの領域についてもプロジェクトを組成し、新たな商品・サービスの開発に取り組んでいく考え。