はじめまして。株式会社D2C R クリエイティブプランナーの高砂知葉です。第8回となる今回は、資格・学習系サービスにフォーカス。なかでも「プログラミングスクール」を例に、運用型広告における他社と差別化させるためのクリエイティブ制作を実際の案件とともにお伝えします。
資格・学習系スクールサービスの現状
資格・学習系スクールサービスが増加傾向にあるのはご存知ですか?
新型コロナウィルスの影響によりおうち時間ができたことで、資格の受講者はコロナ禍前に比べ、約1.5倍増加しました(※1)。またその中でもEdtech市場が強く、プログラミング教育のユーザーは157%増加(※2)。市場全体が上昇傾向にあり、今後も伸びていくことが見込まれます。
そんなプログラミングスクールに焦点をあて、ほかの多数サービスと差別化するためのクリエイティブ制作の考えかたをお届けします。
プログラミングスクール広告におけるクリエイティブのポイント
他社と差別化させるクリエイティブ制作を行う前に、市場ではどういったクリエイティブがあるのか、市場傾向を知ることが大切です。
まず他社広告を収集し「どういった内容の訴求で」「どんなクリエイティブ制作が行われている傾向が多いか」などを分析します。そのなかでも多く配信露出がある広告に目を付けることで、ユーザーへの影響力(クリックやCV結果より配信露出が多いと考えられるため)がある広告、いわゆる“勝ち訴求”を見つけ出すことができます。
たとえばプログラミングスクールの広告で、こういったクリエイティブを目にしたことはありませんか?下のイメージ図は、私がよく目にした訴求をもとに作成したものです。
このクリエイティブの訴求ポイントは次の3つです。
- 未経験者訴求「未経験者でも安心!」「未経験者大歓迎!」
- 実績訴求「就職率100%」「継続率100%」
- 期間訴求「2週間で!」「最短で!」
なにが訴求されているかを把握することで市場のニーズを考えることができるため、検証を行う前でも、当たり率の高いクリエイティブ(CTR・CVRが高く効果の良いクリエイティブ)制作を行うことが可能です。
またこの訴求で獲得できる想定ターゲットとしては、各訴求のキーワードをポジティブに受け止めることができるため、プログラミングスクールでの学習を検討しているユーザーが考えられます。
先ほどの訴求ポイントに、想定されるターゲットの気持ちを加えてみましょう。
- 未経験者訴求「未経験者でも安心!」「未経験者大歓迎!」⇒ターゲットの気持ち「自分と同じように未経験の人もいるんだ。私も頑張れそう!」
- 実績訴求「就職率100%」「継続率100%」⇒ターゲットの気持ち「スクールで頑張れば、プログラマーになれるんだ!」
- 期間訴求「2週間で!」「最短で!」⇒ターゲットの気持ち「そんなに期間が短いなら、自分も短期集中で頑張る!」
このように、各訴求のテキストが、新たな将来へ一歩踏み出すための安心要素と考えられているのではないかと推測できます。だからこそ多くの広告で使用され、勝ち訴求であると言われているのです。
一方、広告はネガティブに捉える方がいるのも事実です。SNSでは「就職率90%」との表記に対し、「意味がない」と捉えているユーザーが実際にいました。また「プログラミングスクール」と検索すると続く第二検索ワードは「やめとけ」、「闇」、「無駄」など。情報が多いからこそ、良い意見も悪い意見も見ることができるため、学習意欲はあるものの、スクールを検討する前段階で悩んでいる方が多いようです。
つまり、同じターゲットでも広告に対する捉えかたは異なります。だからこそ、勝ち訴求だけでは一歩踏み出しきれない人たちのインサイトを発掘し、スクールサービス方針を伝えるためのクリエイティブコンセプトを設けることで「差別化ができるのではないか」と考えました。
その結果、プログラミングスクールを志望するターゲットに対して有効なコンセプトを「エモ」と設定しました。