サイバーエージェント、インターネット広告事業に従事する社員1人ひとりにAIアシスタントを提供

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2024/06/18 09:00

 サイバーエージェントは、インターネット広告事業に従事する社員1人ひとりに対しAIアシスタントを提供するとともに、広告オペレーション業務の効率化を実現する社内向けアプリケーション「シーエーアシスタント」を開発・社内へ導入した。生成AI活用で業務のありかたを再構築し、AIと人間の協業で広告運用における生産性および品質向上を図る。

開発の背景

 生成AI技術は急速に進化し、あらゆる産業・ビジネスにおいて活用が拡大している。同社においても、全社員の生成AIに関するリテラシー向上および、誰もが生成AIを業務で活用できるよう環境整備を推進する「AIオペレーション室」を2023年に設立し、生成AI活用ノウハウの蓄積、プロダクト開発や業務プロセスの整備と標準化、AI人材育成に取り組んでいる。

 一方、広告事業において広告効果の最大化を実現するためには、細かな広告配信設定や効果に応じた運用改善、レポート作成など多くの作業が必要となる。同社では生成AIを活用することで広告オペレーションの作業時間を短縮し、効率化を図る体制構築や仕組み化の取り組みを推進しており、2023年には広告事業における広告オペレーションの作業時間短縮を推進する「ChatGPTオペレーション変革室」を設置。月間で約23万時間にのぼる広告オペレーションにかかる人的な総作業時間のうち、30%にあたる約7万時間の削減に向けた取り組みを行ってきた。

 このように生成AI技術を活用することで、同社では広告オペレーション業務の効率化に取り組んできたが、生成AI活用により “業務のありかた自体を再構築”し、“AIと人間の協業”をより強固にすべく、社員1人ひとりにAIアシスタントを導入するに至った。これに合わせて、新たな社内向けアプリケーションを開発し、さらなる生産性と品質向上の実現を目指す。

「シーエーアシスタント」について

 今回開発・導入した「シーエーアシスタント」は、生成AIを活用することでインターネット広告にかかわる各種業務をAIがサポートする社内向けアプリケーション。広告分析や広告配信におけるアカウント開設時の進行管理、効果計測、また顧客への一次回答などを生成AIがサポートすることで、生産性および品質の向上を図る。

 今まで人手によって作業していた時間をAIが代替することで、社員は作業に充てていた時間を顧客の広告効果最大化に向けた考察時間により多く充てることが可能に。Slackをインターフェースとして、利用者は自然な対話を通してこれらのサポートを受けることができる。

 具体的には、現時点で次の5つの機能を生成AIによって代替する。

機能1:広告分析

同社独自の広告運用BIツールである「CA Dashboard」のデータをもとに、広告実績の分析や簡易コメントをAIが作成する。

機能2:グラフ作成

「CA Dashboard」のデータをもとに、AIボットと対話しながら適切なグラフを作成可能。

機能3:初期構築管理

インターネット広告の主要媒体における、広告配信開始までのタスク生成と進行管理をAIがおこなう。また各種タスクにかかわるFAQに回答するなど、広告配信開始までをAIがガイドする。

機能4:テクニカルサポート

事業部内で提供している各種システムにかかわる質問にAIが回答。また、Googleタグマネージャー、各種SDK、LINEビジネスコネクトなど、広告運用にかかわる各種計測についての質問にAIが回答する。多数寄せられる各種異なる計測まわりの質問に自動回答することで、質問者・回答者双方の工数を削減する。

機能5:一次回答生成

顧客へのSlackおよびメールの一次回答をAIが作成。メッセージの管理・添削・送信までをワンストップで提供する。(※メッセージ内容や広告実績、分析の内容は生成AIモデルの学習に使用されることはない)

 これらの機能により、品質の向上とともに広告オペレーション総時間2.4万時間の削減を図り、顧客の広告効果最大化のための時間を創出する。

 「シーエーアシスタント」は、同社のインターネット広告事業本部内の営業・コンサルタント1人ひとりを対象とし、9月末までに80%の導入、年内12月末までに対象者全員が使いこなし、AIとともに協働している状態を目指す。

 また、同社100%子会社で広告オペレーション業務を行う株式会社シーエー・アドバンスの約1,000名の社員においても導入を進めている。

 また今後の展望として、取引のある広告主企業の要望に応じて「シーエーアシスタント」の一部機能の解放も見据えており、両社で生成AIを活用しながら、さらなる生産性と品質向上、広告効果の最大化を目指していく。

 同社は今後も、AIをはじめとした高い技術力を活かした商品開発および新しいマーケティング手法の提供などさまざまな取り組みを通して、広告主企業の広告効果最大化に尽力していく。