Atlassian Teamwork Labs は、オーストラリア、米国、インド、ドイツ、フランスの約5,000人のナレッジワーカーを対象に、AIについてどのように考え、どのように仕事に活用しているかを調査した。その結果、以下の点が明らかになった。
- AIと効果的にコラボレーションしている人は、まず質問から始めることがわかった
- これらの人々は、特定のタスクや課題を定義し、明確な目標を設定し、その後AIとパートナーシップを組み、ソリューションのブレインストーミングやアイデアの探索を行い、より良い成果をあげている
調査概要
- 調査期間：2024年8月28日～2024年9月12日
- 調査対象者：豪州、米国、インド、ドイツ、フランスの約5,000人のナレッジワーカー
- 有効回答数：5,006
- 調査方法：オンラインによるアンケート調査
Teamwork Labsは、対象者がAIについてどのように考え、どのように仕事に活用しているかを調査した。その結果は下表のとおり。
ステージ1と2に分類された人は単純なAIユーザーと定義しました。これらの人たちは、AIを自動化ツールとして考えている。AIは、自分自身でできる可能性が高いタスクをより速く、より簡単に終わらせるためにのみ使用している。主な使いかたとしては、メールを書いた際にAIを使用してより簡潔で効果的なものにする、であったり、社内情報の検索にAIを使用している。
ステージ3と4に分類された人は戦略的AIコラボレーターと定義した。これらの人たちは、クリエイティブなパートナーまたはさまざまな専門スキルを持つチーム全体としてAIにアプローチしている。たとえば、顧客のエグゼクティブへ訪問する前に、ConfluenceやSalesforceのデータをAIエージェントを使い、顧客の状況を生成し、効果的な顧客とのミーティングの準備として活用している。あるいは、リアルタイムでのアイデア創出を迅速化し、改善するためにAIを活用している。
調査結果から、もっとも戦略的なAIコラボレーターは、
- AIを活用して、労力に対するROIを2倍にしている
- 毎日105分を節約している（毎週1日分の労働時間に相当）
- 時間を節約した分を新しいスキルの習得に再投資する可能性が1.5倍高い
- 革新的なチームメンバーとして見られる可能性が1.8倍高い
という結果が導き出された。
戦略的AIコラボレーターは毎日105分を節約
調査によれば、単純なAIユーザー（ステージ1）はAIを利用することで1日あたり53分の時間を節約しているが、もっとも戦略的なAIコラボレーター（ステージ4）は、1日あたり105分の節約を実現している。これは、平均的な就業日の20％以上となり、週に1日分の労働時間に相当する。
もっとも戦略的なAIコラボレーターは、単純なユーザーの2倍のROIを実現
この結果を金額に換算すると、意思決定の改善を目的としてAIとコラボレーションする企業組織は、年間1億2,940万ドルのROIを達成できるのに対し、AIを特定のタスクにのみ使用する場合は6,510万ドルとなり、この差は6,430万ドルの機会費用に相当する。
戦略的AIコラボレーターは、節約した時間をさらなるレベルアップのために再投資
また、単純なAIユーザーは節約してできた余剰時間を管理業務に費やす傾向があったが、戦略的コラボレーターは節約した時間をスキルの向上や新たなアイデア創出に再投資する傾向が強かった。
分析や仮設構築などへのAI活用で仕事の質が向上
戦略的AIコラボレーター（ステージ3・4）の85％が「この1ヵ月で仕事の質が向上した」と回答しており、単純なAIユーザーの54％を大きく上回る結果となった。AIをデータ収集のみに使うのではなく、分析や仮説の構築などで活用することで、より質の高いアウトプットを生み出していることがうかがえる。
AIに対するリーダーシップの姿勢が重要に
リーダーのAIに対する恐怖や不安が蔓延する環境では、従業員はAIを最小限にしか使用していないことがわかった。一方、リーダーが実験を受け入れ、社員が失敗や生産性の低下を恐れずにAIを試したり学んだりするよう動機づけすれば、社員はAIの戦略的コラボレーターとしての能力をより早く伸ばすことができる。「リーダーがAIの実験を奨励している」という意見に同意する人は、そうでない人よりも1日あたり55％多く時間を節約していた（84分対55分）。また、リーダーのサポートを受けている人は、戦略的AIコラボレーターになる可能性が2.5倍高いことも判明した。
