電通は、店舗や施設などのリアル空間とバーチャル空間を融合し、空間拡張技術と空間移動技術の組み合わせによって高度な没入体験を実現する次世代エンターテインメントプラットフォーム「Scape」を活用したロケーションベースエンターテインメント事業開発の支援を開始する。
独自の空間拡張技術で特許を取得し、Scapeをすでに展開するABALと6月1日付で戦略的提携を締結した。同社がこれまで培った広告コミュニケーションやマーケティングに関するノウハウやクリエイティビティと、ABALの技術力を掛け合わせることで、企業が保有するIP(知的財産)やコンテンツを生かした独特の体験価値をScapeを通じて提供し、既存施設のテーマパーク化や新しいロケーションベースエンターテインメント事業の開発を支援していく。

コロナ禍でバーチャル空間の活用が広がり、収束後にリアル空間での体験価値が再評価される中、リアルとバーチャルが高度に融合した新たな体験価値の創造が期待されている。店舗や施設などのリアル空間に仮想空間を重ね合わせて提供されるScapeのようなエンターテインメントは、近年「ロケーションベースエンターテインメント」とも呼ばれ、デバイスやXR(拡張現実)技術の進歩に伴い、より高度な体験型コンテンツの提供を可能にしている。ハードウエア、ソフトウエアの需要も高まり、今後、市場の成長が期待できる分野。
今回、戦略的提携をしたABALは、500平方メートルのリアル空間にいても、20倍の1万平方メートルの仮想空間にいるような体験ができるなど、空間拡張技術の特許を18件保有。代表的な特許技術としては、来場者が実際には移動していなくてもバーチャル空間のエレベーターや乗り物を通じて、広大な空間を移動しているような体験を提供したり、来場者同士が同じリアル空間にいながらも、バーチャル空間では異なる空間にいる場合、アバター表現を変化させることで、リアル空間での来場者同士の衝突を防いだりできる。これらの特許技術を活用したプラットフォーム「Scape」により、会議室やスタジオのような限られたスペースでも、高度な没入感のあるエンターテインメント空間を構築することを可能にする。

Scapeには、リアル空間での行動をバーチャル空間へ連動させる仕組みや、バーチャル空間で撮影した写真をスマートフォンに保存し、SNSでシェアできる機能があるなど、体験や感動の共有もできう。100人の同時体験も可能で、企業にとっては、展示会などの限られたスペースでも、さまざまな体験価値を提供し、既存の施設を生かしてテーマパーク化することができる。低コストで次世代エンタメを導入したり、少ないスペースを生かして収益源とすることが可能になったりと、メディアやエンタメ企業のIPを活用した新規事業としても期待できる。
同社は今後も、メディア・エンターテインメントに関わる企業のグロースパートナーとして、より高度なコンテンツ体験の提供やロケーションベースエンターテインメント事業の開発を推進し、事業成長に貢献していきます。