東映の研究機関であるツークン研究所は、ライカジオシステムズの軽量で小型の3DレーザースキャナーLeica BLK360を導入。最新事例を発表した。
同研究所では従来からデジタルカメラで撮影した写真をフォトグラメトリ(複数の写真から3DCGを作成する技術)のソフトウェアで合成し、3Dのデジタルセットを制作していた。しかし、写真データだけを合成すると絶対座標値がないために出来上がった3Dモデルに歪みが生じるといった悩みを抱えていた。
そこで、新たに3Dスキャナーを活用して座標値が含まれる3D点群データを取得し、そこにフォトグラメトリのデータを組み合わせることで、正確かつ色や質感の高いデジタルセット映像のスピーディな製作フローを実現した。
また、同スキャナーで取得したデータを基に制作したデジタルセットは、同研究所のリアルタイム合成システム「LiveZ studio」にも使用されているとのこと。同システムは実際のカメラの動きとバーチャル空間内に存在するカメラの動きを連動させて、演技者とデジタルセットの映像を同一画面上でリアルタイムに合成、表示する。俳優はモニター画面で背景に合成されたデジタルセットとの動きをチェックしながら演技でき、スタッフは撮影現場で合成されたCG背景を確認しながらプランニングを行い、円滑に撮影を進めることができる。
制作したデジタルセットは、何度でも使い回すことができ、データは劣化しない。美術的な応用や表現の選択肢が広がり、ほかの要素や新技術を合成できるという。