ソニー、高精細な3DCG映像を裸眼で見ることができる空間再現ディスプレイ「ELF-SR1」発売

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2020/10/20 05:00

 ソニーは、高精細の3DCG映像を裸眼で見ることができる空間再現(SR:Spatial Reality/映像を立体空間に再現すること)ディスプレイ「ELF-SR1」を2020年10月31日に発売する。

 同製品は、その場に実物があるかのような立体的な空間映像を再現し、特別なメガネやヘッドセットなどを使わず裸眼で見ることができるディスプレイ。制作物の奥行き感、質感、佇まいなどをリアルに確認することができる。プロダクトデザインを共有したり、ショールームなどで製品の色や形のバリエーションを見せたりといった場面でも、クリエイター側の思いを忠実に表現することができる。見る角度にかかわらず視点の変化に合わせた映像を確認することができ、被写体が動いていても、立体的に見える映像に遅延やズレはほとんど生じないとのこと。

 同製品の主な特徴は次のとおり。

裸眼で見られる高精細な空間再現ディスプレイ

 SRとは、Spatial Reality(スペーシャル・リアリティ)の略。VR(バーチャル・リアリティ)が仮想のデジタル世界で映像を体験するのに対し、SRでは空間そのものを、そこに実在しているかのように目の前に再現する。独自技術により、特別なメガネやヘッドセットを使わなくても、裸眼で高精細な3DCG映像を見ることができる。

高速・高精度のリアルタイムセンシング技術

 高速ビジョンセンサーと視線認識技術により、見る人の目の位置を常に正しく検出。水平や垂直方向のみならず、奥行方向に関しても左右の目それぞれの位置をリアルタイムに把握する。

リアルタイム映像生成アルゴリズム

 ユーザーの目の位置情報をもとに、実際にディスプレイパネルから出す光源映像をリアルタイムに生成。常に両目に正しい視点画像が提示されるので、実際に空間や物体がそこにあるかのように感じることができる。

マイクロオプティカルレンズ

 リアルタイムに生成した映像を左右の目に届けるための独自のマイクロオプティカルレンズをパネル全面に超高精度に貼り付けることにより、自然な裸眼立体視を可能にする。従来の3Dディスプレイと比較してクロストーク(片方の目の映像がもう一方の目の映像に混ざる現象。映像がクリアに見えなくなる)を大幅に低減し、映像を正しく左右の目に届けることができる。

多様な用途に合った表現力

 高精細かつ立体的に映し出す表現力により、コンテンツクリエイターにとって制作中のコンテンツの確認がイメージ通りの形で容易に行える。

 たとえば車や建築のデザインなどにおいては、従来のように試作品を作ることなく、ディスプレイ上で条件を変えながらさまざまな試行錯誤を繰り返すことができるので、クオリティの向上や制作コストの削減、リードタイムの短縮につながる。また、アパレルやハウスメーカーのショールームや店舗では、従来はスペースや費用などの面から展示できる品数に制限があったものでも、同製品に表示させることで数多くのカラーや形のバリエーションを紹介することが可能となる。さらに、美術館や博物館、イベント会場などでは、通常遠くからしか見られない対象物を同製品に映し出すことで、立体感のある表現を間近で、さまざまな角度から、楽しむことができる。

専用SDKの提供とサポート

 同製品向けのコンテンツ制作を容易に行える専用SDK(ソフトウェアディベロップメントキット)を開発者向けサイトにて無償提供し 、制作活動をサポート。同SDKは、ゲームやVR、建築、車のデザインといったさまざまな業界のインタラクティブなアプリ開発の定番ツールであるUnityとUnreal Engine 4に対応しており、クリエイターは既存の3Dコンテンツを同製品に表示することができるという。