ソニー、立体音響技術活用した音楽体験「360 Reality Audio」のエコシステムを拡充

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2021/01/13 06:00

 ソニーは、昨年より欧米を皮切りに展開している、没入感のある立体的な音場を実現する立体音響技術を活用した音楽体験「360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ)」の新たな取り組みを始めた。

 立体的な音場に映像を組み合わせた臨場感あるビデオコンテンツの配信や、対応楽曲制作ツール「360 Reality Audio Creative Suite(サンロクマル・リアリティオーディオ・クリエイティブスイート)」の共同開発、対応機器の拡大、360 Reality Audioに関連する独自技術の他社へのライセンス提供を進める。

 欧米などでは複数のストリーミングサービスから対応楽曲の配信を開始しており、新しいエンタテインメントの創出に向け、開かれたエコシステムの形成を進めている。すでに、アリシア・キーズ、リル・ナズ・X、ミーガン・ザ・スタリオン、ノア・サイラス、ザラ・ラーソンの新曲を含む、4,000曲以上の対応楽曲が提供されている。

 同社のエコシステム拡充に向けた新たな取り組みは、次のとおり。

アーティストとリスナーを繋ぐ臨場感あるビデオコンテンツの配信

 主要音楽レーベルおよびストリーミングサービスと連携し、360 Reality Audioによる立体的な音場と映像を組み合わせた、アーティストによるライブパフォーマンスのビデオコンテンツ配信サービスを年内に開始予定。アーティストとリスナーをつなぎ、あたかもアーティストと同じ空間にいるような臨場感と没入感を体験できる。

 開催するテクノロジーイベント「CES 2021」に合わせ、配信サービス開始に先駆けて、360 Reality Audio初のビデオコンテンツとしてザラ・ラーソンによるパフォーマンスを楽曲配信アプリ「Artist Connection(アーティストコネクション)」から配信した。同コンテンツは日本国内でも視聴体験が可能となっている。

楽曲制作ツール「360 Reality Audio Creative Suite」の共同開発

 対応コンテンツ拡大に向けて、360 Reality Audioの制作環境の整備を進めている同社は、音楽ソフトウェア開発会社Virtual Sonics社と共同で、対応楽曲制作ツール「360 Reality Audio Creative Suite」を開発。同ツールは、プロ向け楽曲制作アプリケーションであるさまざまなDigital Audio Workstation(DAW)のプラグインソフトウェアとして、Virtual Sonics社の子会社Audio Futures社から今年1月末よりダウンロードでの発売を予定している。クリエイターやアーティストが既存の制作プラットフォームを使って、容易に360度の球状に広がる空間で音楽を表現することを可能とする。

 今後、クリエイターが同ツールで制作した楽曲を配信する取り組みである「クリエイター・プログラム」をMusic.com(運営会社 米国Inspiration is Everything社)および米国の音楽配信会社The Orchard社と協業して展開する予定だという。

対応機器の拡大とライセンス提供による制作・視聴環境の強化

対応機器の拡大

 同社は、360 Reality Audioに対応したワイヤレススピーカー「SRS-RA5000」、および「SRS-RA3000」を今春以降発売する。1台のスピーカーで360 Reality Audioの立体的な音場を 再現することができる。

360 Reality Audioに関連した新規技術ライセンスの提供

 さらなる360 Reality Audioの普及推進のために、次のライセンスの提供を開始した。

  • 360 Reality Audio対応ヘッドホンで、より臨場感ある音楽体験を実現するために音場を1人ひとりに最適化する同社独自技術のライセンス。
  • 360 Reality Audio対応スマートフォン、および車載オーディオで360 Reality Audioを再生するための技術ライセンス。