ニコンクリエイツ、次世代自由視点3D映像ボリュメトリックビデオ撮影システムの提供を開始

  • X
  • Facebook
  • note
  • hatena
  • Pocket
2022/10/17 12:00

 ニコンが次世代映像コンテンツの企画・撮影・制作を担う新事業のために立ち上げたニコンクリエイツは、東京・平和島の複合型撮影施設にて、次世代自由視点3D映像ボリュメトリックビデオ撮影システム“POLYMOTION STAGE”を用いたサービスの提供を開始した。ニコンクリエイツは、アメリカMicrosoft Corporationの技術を活用した、人物の表情や微細な個所もフォトリアルに再現できるAzureによる高品質な3Dデータ映像の生成が特徴の「Microsoft Mixed Reality Capture Studios」のパートナー企業となる。

 100台以上のカメラで構成されボリュメトリックビデオ撮影システム“POLYMOTION STAGE”によって、同社はさまざまなボリュメトリックビデオの企画・撮影・編集を担う、プロダクションサービスを行う。撮影にはプロデューサーやエンジニアが対応。12月には、「ボリュメトリックビデオ」に加えて「バーチャルプロダクション」が稼働となり、最新映像技術による撮影が可能となる複合的な施設が完成となる。

 また、人気アーティスト「SPiCYSOL」をボリュメトリックビデオで撮影し、その映像素材を3人のディレクターがそれぞれ映像作品制作した、ボリュメトリックビデオを体験できる3作品のショーリールを公開した。

 ボリュメトリックビデオでは360度すべての映像データが撮影されるため、撮影後もアングルやズームを自由に変更して合成することができ、いままでの映像の制作プロセスを一変させる。たとえば、再撮影が不可能なタレントの撮影でもすべてのアングルが映像データとして残るので、撮影後の修正や変更も容易に。全員が揃うことが難しいグループでもひとりずつ撮影して、グループとしての映像を作成することが可能。すべての3Dデータが1回で撮影できるため、何度もカットを変えて撮影する必要がなく、演者はもちろん現場スタッフの拘束時間が低減され、編集時に「違うアングルから撮っておけばよかった」といったケースもなくなる。

 またボリュメトリックビデオの3Dデータそのものを活用した、MR(複合現実)分野やメタバースへの可能性も大きく広がる。ニコンクリエイツでは、この“POLYMOTION STAGE”を、今後、CM・PR動画・ミュージックビデオなどの制作をはじめ、文化遺産のアーカイブなど幅広い領域で活用してもらえるよう活動していく予定。「新しい映像価値の創造」を目指して、次世代のクリエイターたちとともに次世代の映像コンテンツを提供していく。

ボリュメトリックビデオ撮影イメージ

1)撮影スタジオにて撮影

2)3D空間に再現

3)編集する際は360度、すべての映像角度を使用することができる

ボリュメトリックビデオ撮影システム
ボリュメトリックビデオ撮影システム
ロビー
ロビー

ボリュメトリックビデオの特徴を活用した3人のディレクターによるショーリール

 ボリュメトリックビデオは、撮影の後のポストプロダクションの段階でアングルやズームを自由に変得ることができる。この技術が変革する制作プロセスを理解してもらうため、同社は同一素材をもとにした3人のディレクターの競作を企画。できあがった3本のショーリールを、同社公式HPおよびYoutubeにて公開した。

  通常の制作では、撮影前にアングルや構図、ライティングを綿密に計算して撮影に挑むが、この企画ではディレクターは撮影現場に立ち会わずに、4人組バンド「SPiCYSOL」の4人それぞれのパフォーマンスをニコンクリエイツ側で撮影し、高品質な3D/360度データ映像を生成。その素材を、個性の異なる3人のディレクターに提供し、あとから背景や構図などの編集を加えてもらうことで、同じ素材でもさまざまな映像が生まれた。

ディレクター 髙田 弘隆氏
ディレクター 髙田 弘隆氏(https://youtu.be/RqofZl_tRN0
ディレクター 牧野 惇氏
ディレクター 牧野 惇氏(https://youtu.be/pItZ02RL8Jk
ディレクター 加藤 ヒデジン氏
ディレクター 加藤 ヒデジン氏(https://youtu.be/CjEQ4PV6PNc