NTTコムと東映とNTTコノキュー、デジタルヒューマンを活用した接客・コミュニケーションの共同実験開始

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2023/03/13 10:00

 NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)、東映およびNTT QONOQ(以下、コノキュー)は、デジタルヒューマンを活用し、接客やコミュニケーションを行う実証実験を開始する。

 本実証実験では、東映ツークン研究所のもつデジタルヒューマン技術(※1)で生成された"ビジュアル"とNTT人間情報研究所がもつモーションや音声を生成する技術により表現された"パーソナリティ"(ふるまいや音声)を掛け合わせることにより生み出された、リアリティのあるデジタルヒューマン「CONN(コン)」が、NTT Comのワークプレイス「OPEN HUB Park」で接客やコミュニケーションを行い、企業における新たな顧客接点としてのデジタルヒューマン活用の可能性を検証する。

1.背景

労働力不足や生産性向上が課題となる中、企業ではXRやメタバース、ロボットなどの先進技術活用の検討が進んでいる。なかでも、コンタクトセンターや店舗などの顧客接点において、チャットボットやバーチャルなキャラクターの導入が広がってきましたが、リアルな人との接点を求める顧客は依然として多く、さらなる普及に向けてはよりリアルな人間に近い動きやコミュニケーションが可能なバーチャルキャラクターが求められている。

このような背景をふまえ3社は、東映ツークン研究所のデジタルヒューマン生成技術とNTT人間情報研究所が開発した「モーション生成AI技術」「音声合成AI技術」を連携させることで、より人間に近い自然なふるまいができるデジタルヒューマン「CONN」を生み出した。「CONN」は、NTT Com が、顧客やパートナーと新しい事業コンセプトを共創し、社会実装するために開始した事業共創プログラム「OPEN HUB for Smart World」(以下、OPEN HUB)において接客・コミュニケーションを行う「デジタル カタリスト(※)」として活動することで、これまでおもにエンターテイメント分野で展開されてきたデジタルヒューマンの、企業における新たな顧客接点としての活用の可能性を検証する。

※「OPEN HUB」において、企業とともに共創を行う社内外の専門家を「カタリスト」と呼んでいる。「デジタルカタリスト」は、東映ツークン研究所の技術とNTT人間研究所の技術の掛け合わせにより誕生したデジタルヒューマンのカタリスト。

2.本実証実験の概要

「CONN」が「デジタルカタリスト」として「OPEN HUB Park」内の複数のデバイスに登場し、来訪者の対応をすることで、顧客接点としてのデジタルヒューマンの可能性を検証する。

(1)「CONN」の生成

1-1.ビジュアル

実在のカタリスト9名の顔を、東映ツークン研究所の最新版の「LightStage(ライトステージ)」(※)にてスキャンし、CGによりリアルな人間(デジタルヒューマン)を生成する技術を活用して生成。

※LightStageは、人間の顔のスキャンシステムで、天球状に設置された多数の照明をコントロールしながら撮影することで、形状だけでなく、質感までも高精細に再現することが可能。

1-2.パーソナリティ(ふるまい、音声)

実在するカタリストのモーションキャプチャデータと音声データをNTT グループが開発する AIエンジンに学習させ、カタリストのふるまいと声の特徴を再現。

1-3.ビジュアルデータとパーソナリティデータの融合

NTT Comが開発した、独自ソフトウェアの活用により、生成したビジュアルデータとパーソナリティデータの特徴点を組み合わせ、学習済みのプログラムをもとに、モーション生成/音声生成を行うことで、「CONN」の3DCG化を実現。

(2)「CONN」による「OPEN HUB Park」案内

「CONN」自らが思考しているかのように、表情やふるまい、声のトーンなどを顧客との対話の中で柔軟に変化させ、自然なコミュニケーションをしながら「OPENHUB Park」内の次のゾーンを案内する。

2-1.レセプションゾーン

7つの LEDモニターとARグラス上で「CONN」が「OPEN HUB Park」のコンセプトを紹介。

2-2.プレゼンゾーン

等身大のモニターに「CONN」が登場し、巨大 LED モニター上に表示される映像コンテンツの説明を行うとともに、顧客とインタラクティブな会話を楽しめる簡単な質疑応答も実施。

2-3.ライブラリーゾーン

ARグラス上に Smart World の取り組みを象徴する動物たちが登場し、「OPEN HUBPark」内のライブラリーゾーンを案内。なお、本ゾーンでの案内は本実証実験開始当初は実装せず、今後実装予定。

(3)「CONN」が複数のデバイス間をシームレスに移動

ARグラスや7つの LEDモニター、等身大のモニター上に、それぞれのデバイス用に最適化された 3DCG の「CONN」が登場し、さまざまなコンテンツを提供する。

3.各社の役割

  • NTT Com:実証実験場(OPEN HUB Park)の提供および評価シナリオ検討、アーキテクチャ検討、インフラ構築、品質管理
  • 東映:「デジタルカタリスト」の監修、制作、システム構築
  • コノキュー:ソフトウェア開発および実証実験内容の検討、ビジネス展開に向けた検討

4.今後の展開

3社は、本実証実験を通じて得られた知見をもとに、自社内でのデジタルヒューマンの活用を検討するとともに、イベントやショールームでのアテンダント、企業の受付、アパレル店舗の店員など幅広い業種・業界の顧客へ、デジタルヒューマンを活用したソリューションの提供を目指す。