Boxが「Box AI」を発表 ChatGPTのAPIをコンテンツクラウド「Box」に統合し新たなコンテンツ作成が可能に

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2023/05/09 07:00

 Boxは、セキュリティ、コンプライアンス、プライバシーの法人利用基準を満たす、高度なAIモデルをBoxにネイティブに実装する一連の新機能「Box AI」を発表した。Box AIは、インサイトの発見と共有、重要な問題に対する迅速な回答、Boxに格納されている組織のデータにもとづくコンテンツ作成をこれまで以上に容易にする。また、OpenAI社の最先端のAIモデルをBoxに統合し、Box上にあるコンテンツを理解し、新たなコンテンツを作成することが可能となる。

 Boxの共同創業者兼 CEO アーロン・レヴィ(Aaron Levie)氏は次のように述べている。

「私たちは、昨今の生成AIの発展により、エンタープライズ・ソフトウェアにおけるプラットフォームの変革期にいますが、エンタープライズ向けのコンテンツほど社会に大きな影響を与える可能性がある分野はないでしょう。今回の連携により、組織が保有するユニークなドキュメントやビデオ、プレゼンテーション、スプレッドシートなどの膨大な量のデータを分析し、合成する能力において、大きな改善がみられました。AIを組み合わせることで、コンテンツの価値を引き出し、すべての人がよりスマートに、より生産的に業務に取り組むことができます。コンテンツは組織のもっとも重要なデータであり、Box AIによって真の業務改革の推進がはじまったところです」

 Box AIは、コンテンツがすでに安全に保管されている場所に、基盤となるAIモデルをもたらし、組織内のファイルを便利で価値あるものにする。

 IDC社でコンテンツ戦略および未来の働き方部門のグループバイスプレジデントを務めるホリー・ムスコリーノ(Holly Muscolino)氏は、次のように述べている。

「AIの導入が遅れている企業は取り残されるでしょう。AIは人間の能力を高め、繰り返し行われるタスクの自動化、パーソナライズされたレコメンデーションの提供、データに基づく迅速かつ正確な意思決定に適しています。

BoxのコンテンツクラウドはAIの効果を最大限に引き出す重要なポジションにおり、未来のビジネスのあり方を次のステージに引き上げるための重要な役割を担うでしょう。」

 5月9日(米国時間)、Boxの年次イベント「Content Cloud Summit」にて、Box AIのふたつの機能についてプレビューを公開。その後順次機能を追加していく予定。

Box AIで正しい答えを見つけ、業務効率を高める

 Box AIはユーザーが必要な時に必要とする正確な情報を探し出すのを支援。プレビューで閲覧する際に、ドキュメントに関する質問をしたり、スプレッドシートからの重要な情報を引き出したり、プレゼンテーションを要約したりすることを、すべてワンクリックで行うことができます。Box AIは組織のファイルと連携し精度を向上させる。新機能により次のタスクが実現できる。

  • 営業部門は、Box AIを活用し、複雑な契約書に関する疑問への回答を得て、営業の効率を上げることができる。
  • アナリストは、Box AIに長大な財務報告書を要約させることで、格付けの推奨に役立てることができきる。
  • 法務部門は、Box AIに契約書から重要な条項や用語、法的義務を引き出してもらうことで、レビューを早めることができる。
  • オペレーション部門は、Box AIで予算から重要なポイントを抽出し、財務部門を待たせることなく、企業戦略の資料を更新することができる。
  • カスタマーサービス部門は、Box AIを活用し、数百の顧客からのフィードバックからインサイトを抽出し、改善のための重要な領域を特定することができる。

Box AIで新しいコンテンツを容易に作成

Box AIは、ユーザーによる迅速なコンテンツ作成と、生産性の向上を支援。Box Notesの中で、ユーザーはゼロからコンテンツを作成したり、既存の情報から新しい資料を作成することができる。簡単な操作で、原稿やニュースレター、ブログ記事といった異なるトーン、長さ、スタイルの原稿を作成したり、Boxに格納されている情報をもとにしたアジェンダ、マニュアル、報告書を作成したりすることができる。

  • カスタマーサクセス部門はBox AIにより、一般的なオンボーディングの書類を特定の顧客固有のニーズにあわせて用意することができる。
  • マーケティング部門は、Box AIにより、ブログ記事やウェブのキャッチコピー、キャプションの作成を、スムーズに進めることができるようになる。
  • 広報部門は、Box AIにより、制限文字数内でテキストを要約し、自社の言葉でソーシャルコピーを作成することで、時間と労力を節約することができる。
  • プロダクト部門は、Box AIというオンデマンドのサウンドボードを利用して、新製品のアイデア、名称、デザインに対するフィードバックを提供することができる。
  • エンジニアはBox AIを使ってスペックや要件を作ることで、製品開発のスピードアップにつながる、より価値の高い仕事に時間を割くことができる。

エンタープライズグレードのセキュリティ、プライバシー、コンプライアンスにAIを連携

 Box AIは、 BoxのAI原則に従って10年以上開発しているフレームワークをもとに構築されており、組織がサードパーティのAIモデルに接続できるようにプラットフォームの中立性を保ちながらも、最新の優れたインテリジェンスモデルをコンテンツクラウドに適用することで継続的に機能強化していく。Box AIはBoxに組み込まれた権限によって管理され、顧客がデータを制御できるように作られており、ユーザーがアクセスすることを許可されたファイルやコンテンツのみを閲覧したり操作したりできるようにする。

 今後、Box AIはBoxの製品群全体に組み込まれる予定で、より複雑なユースケースに対応していく。たとえば、Box AIを活用して、ビジネスのワークフローやタスクを自動化し、より迅速なビジネス成果を促進したり、ファイルの自動分類やコンテンツを保護するための権限を設定することで、大規模なセキュリティの強化に対応し、カスタムAPIへのアクセスにより開発者エコシステムを改善することができる見込み。

OpenAIとの開発

 Box AIのイノベーションは、OpenAIの最先端のAIモデルにより支えられており、Boxの顧客は生産性を向上させるために最新のAI技術の恩恵を受けることが可能となる。

 OpenAI社COO ブラッド・ライトキャップ(Brad Lightcap)氏は、次のように述べている。

「AIは、生産性やコラボレーションを高める新しいツールを実現することで、私たちが認識している仕事のあり方を再形成する可能性を秘めています。私たちは、これらのツールを世界中のすべてのユーザー、チーム、ビジネスで活用することができるように、Boxをサポートできることを嬉しく思います。」

デザイン・パートナー・プログラム

 Box AIへの初期のアクセス権は、近日発表予定のデザイン・パートナー・プログラムを通じて、Boxの顧客の中から選ばれる。価格やパッケージについては正式提供の際に発表する予定。