東京都立産業貿易センター浜松町館で開かれているTIFFCOMセミナーで、フジテレビは10月26日(木)にグローバル事業戦略発表会を開催し、制作・メディアタイアップからインフラ開拓まで、全方位でグロバールビジネスを行う方針を発表。来日したアメリカのスカイバウンドエンターテインメント社(以下、スカイバウンド)、中国のbilibili社、韓国のカカオエンターテインメント社(以下、カカオエンター)の担当者も登壇し、それぞれのパートナーシップについてのトークセッションを展開。海外のバイヤーや出展者らを対象に、今後のグローバル戦略についてアピールした。
フジテレビ専務取締役の大多亮氏は、フジテレビのIPを海外へ展開する重要性について語ったうえで、フジテレビの得意分野である番組制作とメディア事業の活用に加えて、メタバースやWebtoonなど現地にインフラを直接作る新しいチャンレンジも行っていく方針を明らかにした。
韓国 カカオエンターの大人気Webtoonを日本ドラマとして共同制作
フジテレビとカカオエンターは、両社のIPをWebtoonや映像として共同制作するなど、二次著作物を積極的に制作する協業を発表。フジテレビのオリジナルIPをWebtoon、Web小説にしたり、カカオエンターのWebtoon 、Web小説のIPを映像化したりするなど、日本と韓国からグローバルに展開する作品を誕生させるために力を合わせていく。
最初の協業プロジェクトとして、カカオページとカカオWebtoonで約2億ビューを記録した『アクアマン』を日本版ドラマとして共同制作することも発表。放送・配信予定やキャストなどの詳細情報は後日発表する予定。
アメリカ スカイバウンドとのパートナーシップ
両社のIP活用プロジェクト第1弾として、スカイバウンド原作のグラフィックノベルシリーズ『ハート・アタック』を日本ドラマとして共同制作する。スカイバウンドが持つグローバル向けコンテンツ制作ノウハウとフジテレビの制作力を生かし、世界中で多くの視聴者に観てもらえるドラマを作ることを目標としている。さらに、今後はフジテレビのIPをアメリカ版ドラマにする共同制作、新たなオリジナルIPの共同開発など、お互いのIPを拡張することにも注力していく。
中国 bilibili アニメ『時光代理人』の日本版ドラマを共同制作
フジテレビはbilibiliとの協業を受け、10月より深夜に新たなアニメ枠「B8station(ビーハチステーション)」を創設し、bilibiliで制作し配信開始から4ヵ月で総再生回数1.6億回を突破したアニメーション『時光代理人-LINK CLICK-』日本語吹き替え版を放送している。今回新たに『時光代理人-LINK CLICK-』を日本版ドラマとして共同制作する予定であることや、フジテレビのドラマIPを中国版アニメとして共同制作する予定であることが発表された。
フジテレビは、放送中心のビジネスから更に進化し、新しいビジネスモデルへ収益構造の確立を目標としていく。とくに立体的なグロバールビジネスを展開していくため、既存の番組・コンテンツの売買など商品単位のビジネスモデルから、「IPの拡張」として総合的なビジネスに注力していく。
コメント
株式会社フジテレビジョン 専務取締役 大多 亮氏
「この度“2023フジテレビグローバル事業戦略発表会”を開催し、関係者の方々との交流の場を持てたことをうれしく思います。今後フジテレビは、海外市場へのフジテレビIPの拡大を加速させるために継続的にチャレンジしていきます。その一環として、今回の韓国カカオエンターとの協力を通じて、Webtoonという新しい分野にフジテレビが挑戦することになりました。これから両社が共同開発するWebtoonを原作としたフジテレビの映像作品にも期待していただきたいと思います。フジテレビの持つすべてのIPのグローバル展開を目指し、コンテンツ業界の革新をリードできるようにさらに努力していきたいと考えています」
カカオエンターテインメント IP事業部長 ファン・ゼホン氏
「これまで、カカオエンターは『ムービング』『社内お見合い』など数多くの作品の成功で、当社の持つIPの価値と可能性、さらに無限の拡張性を全世界にお見せしてきました。このたび、日本の代表的エンターテインメント事業者であるフジテレビと意義深い協業も実現できました。今後、フジテレビとともに継続的に有意義な協業事例を作ることで、カカオエンターのグローバル競争力を一段と強化するきっかけにしていきたいと考えています」