視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタルは、ニールセン デジタルコンテンツ視聴率(Nielsen Digital Content Ratings)のデータをもとに、2023年の日本におけるトータルデジタルでのインターネットサービス利用ランキング、「Tops of 2023: Digital in Japan」を発表した。
まず、2023年のデジタルサービスの利用動向としてPCとモバイルの重複を除いたトータルデジタルのリーチと利用者数に着目すると、上位10サービスの顔ぶれや順位には昨年と比較して大きな変化は見られなかった。利用者数が多かったのは昨年同様に「Yahoo Japan」「Google」「LINE」で、いずれも利用者数が8,000万人を超え、人口の60%以上にリーチするサービスとなっていた。一方で、検索やSNSに次ぐ第3のメディアとしてリテールメディアにも近年注目が集まっているが、「PayPay」は5,067万人が利用し、大手メディアに並ぶ規模のサービスとして定着してきていることがわかる。
トータルデジタルの利用時間シェアに着目すると、利用者数では4位だった「YouTube」は昨年同様1位を維持し、総利用時間の37%を占めている。一方で、10位にランクインしなかったサービスの利用時間シェアが約30%を占めていることから、上位10サービス以外にもさまざまなメディアが利用されていることがわかる。
消費者と効率的かつ効果的にコミュニケーションを取っていくうえで、各メディアの利用者特性を正確に把握し目的に合わせて活用していくことも重要に。とくに若年層においては物心ついた頃からスマートフォンやタブレットを使いこなし、動画サービスで好きなコンテンツを視聴し、さまざまなソーシャルメディアで友人やコミュニティと交流している。18‐34歳の利用者数上位10サービスのリーチに着目すると、全年代のリーチよりも20ポイント以上高くなっていることがわかる。
また、順位においても全体では7位だった「Twitter X」が82.5%で5位にランクインし、全体ではランキング外だった「Mercari」が51.6%で10位にランクインするなど、若年層では全体と比べて特定サービスのリーチが高いことがわかる。
同社シニアアナリストのコヴァリョヴァ・ソフィヤ氏は、次のように述べている。「2023年の利用動向として、利用者数や利用時間シェア上位のサービスでは昨年同様に大きな変化は見られなかったものの、近年注目の集まっているリテールサービスやコロナ禍で利用が増加した動画サービスの利用は定着してきていることがわかります。また、新しいサービスの利用が拡大していくことで、消費者のメディア視聴はさらに分散化されてきています。若年層では全体と比べて特定サービスのリーチが高いなど、メディアの特性によって特定の属性の利用者層が多いケースや利用時間が長いケースもあります。多くの企業に活用される主要メディアだけでコミュニケーションを取る場合、伝えたいメッセージが埋もれてしまい、ターゲットに届かなくなってしまう可能性もあることから、消費者と効率的かつ効果的にコミュニケーションを図るためには、全年代のリーチだけでなく、ターゲットリーチやターゲットGRP、ターゲットのフリークエンシー、利用時間にも注目し正確に把握することが一層重要になります」