アビームコンサルティング、2024年度「日本企業の企業価値を高めるESG指標トップ30」の分析結果を発表

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2024/11/20 06:30

 アビームコンサルティングは、企業価値の向上とESG活動における指標の相関を明らかにすることを目的に分析調査を実施し、「日本企業の企業価値を高めるESG指標トップ30(2024年度)」を発表した。なお、本分析調査は2022年度に続く2回目の実施となり、ESG指標分析を実施する企業数の拡大を背景に、対象企業数は前回の約2倍に拡大した。

分析調査の背景

 持続的な企業価値向上の実現に向け、企業は競争力の源泉としての非財務資本を適切に管理、配分、活用することが求められている。アビームコンサルティングは2019年より「Digital ESGサービス」を展開し、社内外の非財務データを活用して非財務資本の増強施策と企業価値との関係性を定量的に可視化することで、中長期的な競争力強化を図るための戦略的な企業価値向上経営の実現を支援している。

 今回の分析調査では、アビームコンサルティングのエグゼクティブアドバイザーであり早稲田大学客員教授である柳良平氏が提唱したESGと企業価値の関連を示す計算式「柳モデル」を用いて、アビームコンサルティングがこれまで支援を行った日本企業の非財務データ分析にもとづき、企業価値と強い相関を示す具体的な指標を抽出した。その結果、多くの企業で企業価値と相関が認められる指標上位30位を新たに明らかにし、以下のランキングにまとめた。

2024年度「日本の企業価値を高めるESG指標のトップ30」と概要

※背景白:今回の分析調査で新たにESG指標トップ30にランクインした指標、背景ベージュ:前回から継続してランクインしている指標
※背景白:今回の分析調査で新たにESG指標トップ30にランクインした指標、
背景ベージュ:前回から継続してランクインしている指標

 今回の調査結果では、前回と同様の21指標が引き続きランクインし、中長期的に企業価値向上に寄与することが改めて確認された。新たにランクインした指標のうち特筆すべきは、「研究開発による創出製品数(4位)」「企業ブランド調査結果(14位)」「CO2排出量-スコープ3/カテゴリ11(22位)」「従業員エンゲージメント(25位)」の4つ。特に「研究開発成果」や「ブランド力」関連の指標が上位にランクインしていることから、非財務資本が企業の競争力に与える影響が示されている。

分析調査の主な考察

 分析調査の考察として、以下4点をまとめた。

研究開発における成果

「研究開発による創出製品数」(4位)、「登録特許件数」(16位)の指標は、研究開発という企業の新たな価値創出と競争力強化に直結することが明らかとなった。企業は研究開発の成果をステークホルダーに対して、適切に開示していくことが求められている。

ブランド力の強化

「工場・ミュージアム・ショールームなどの見学来場者数」(11位)や「企業ブランド調査結果」(14位)が示すように、ブランド力が企業価値の向上に大きく寄与している。地域・社会との交流やブランディング活動の強化が、信頼性と競争力を高める重要な手段であることがわかった。

気候変動への対策

「CO2排出量(スコープ2)」は前回の16位から5位に上昇し、さらに「CO2排出量(スコープ3/カテゴリ11)」が新たに22位にランクイン。カーボンニュートラルの取り組みが進むなかで、製品のライフサイクル全体での環境負荷低減が企業価値向上の重要な要素であることが明確になった。

従業員エンゲージメントの重要性

従業員の所属組織への貢献意欲を示す指標である「従業員エンゲージメント」が25位に新たにランクインしたことから、エンゲージメントの高い従業員は、従業員の育成や組織の持続的な成長、定着率の向上に貢献することが示され、企業における従業員支援の重要性が再確認された。