「超動画時代に縦型革命を」 吉本芸人ら出演の縦型ショートドラマプラットフォーム「FANY :D」リリースへ 

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2024/11/25 07:00

 吉本興業グループのFANYは、NTTドコモ・スタジオ&ライブ、Mintoと共同で、2024年12月3日に縦型ショートドラマプラットフォーム「FANY :D」(ファニーディー)をリリースすることを発表。

 「FANY :D」は1話1〜3分程度で、冒頭数話無料で視聴したあと、都度課金となる縦型ショートドラマアプリ。「人間の欲望を解放するショートドラマアプリ」をコンセプトに、初期は復讐、裏切りやどろどろな恋愛系などを中心に、リリース1ヵ月程度以内に15作品を配信を予定している。初期作品には星田英利さん、ココリコ田中直樹さん、ロバート山本博さん、フルーツポンチ村上健志さん、ひょっこりはんさん、蛙亭イワクラさん、そいつどいつ市川刺身さんなど、吉本興業所属芸人やタレントが多数出演している。

 都内で行われた記者発表会では、お笑い芸人のフルーツポンチ 村上健志さん、久代 萌美さんをMCに、吉本興業ホールディングス FANY 代表取締役 梁 弘一さん、NTTドコモ スタジオ&ライブ 取締役 志村 一隆さん、Minto 代表取締役 水野 和寛さんが登壇。ショートドラマへの見解やFANY :Dのミッション、概要などについて説明した。

 冒頭に登場した志村さんは、ショートドラマ市場へ参入する意図について、スマホで展開されている有料配信のコンテンツに有力なプレイヤーがいない、つまり「ブルーオーシャン」であることを挙げ、続けてその具体的な運営方針として3つのポイントを示した。

「ひとつは『リキッド&クイック』です。スマホ上では、静止画がそのまま動画になったり、マンガが実写ドラマになったり、ドラマをアニメにしたりと、IPの表現形式が自由自在に、かつ“流動的”になっている。その動きを我々は“クイック”に回していきたいと考えています。ショートドラマは企画から約3ヵ月で配信することができます。

 また我々のショートコンテンツは、配信したときが最終形ではなく、あくまで始まり。そのあとお客さまのデータに基づいてチューニングをしていき、より見てもらえるコンテンツ、海外にマッチしたコンテンツに作り直していくという新しい形を目指しています。

株式会社NTTドコモ スタジオ&ライブ 取締役 志村 一隆氏
株式会社NTTドコモ スタジオ&ライブ 取締役 志村 一隆さん

 ふたつめは『グローバル』。最初からFANY :Dはグローバル展開を目指します。字幕やボイスオーバーはもちろん、グローバルに通用する日本初のコンテンツを生み出し配信していきたいと考えています。

 そして3つめは『AI』です。実写をアニメにする技術はすでにありますが、我々もAIで制作したアニメを配信していきたいと思っています。AIの技術によって、Webtoonやマンガの原作、テキストをいきなり実写にしたりすることも可能になるはず。こうした新しいテクノロジーを活用した表現形式を配信していきたいです」

 また今度の展望については次のように語り、意欲をのぞかせた。

「我々は超動画時代のなかで有料配信のショートに着目し、参入していきます。そして、FANY :Dで新しい市場、新しい映像文法、新しい表現形式をつくっていく。ショートドラマの市場を『縦型革命』と呼び、これから日本が発展していく産業におけるひとつのドライバーとして、FANY :Dを考えています」

 今後は吉本興業グループのタレントおよび映像プロデュース力と、Mintoのショートドラマプロデュースノウハウを活かし、「つっこみたくなる」要素や面白さを加えるなど吉本興業らしさを加えた幅広いオリジナル作品の配信を年間で50本以上予定しており、その後Webtoon化やTVドラマ化などのIP展開も積極的に展開予定。

 Mintoの水野さんは「コンテンツの質もですが、しっかり量も担保していきたい。SNSで話題になっているスタジオさんやテレビドラマ制作のスタジオさんと組み、あらゆる可能性にチャレンジしながらドラマ制作を進めていきたい」と語った。

株式会社Minto 代表取締役 水野 和寛さん
株式会社Minto 代表取締役 水野 和寛さん

 さらに、470万人の会員基盤とファンコミュニティ、クラウドファンディング、音声アプリなど、FANYのさまざまなサービスとの連携も予定しており、今後はお笑い芸人発想の新しいストーリー原作への挑戦や、現在FANYで開発中の「お笑いが分かる翻訳AI技術」を活かした海外ローカライズも進めていく。

 これについてFANY 代表取締役の梁さんは「吉本協業としてもストーリー起点のコンテンツに力を入れていきたい。芸人のなかでもショートドラマに向いていそうな種をどんどん映像化、コンテンツ化していけたらと考えています」と語り、「芸人が原作のオリジナル作品から新しいショートドラマのトレンドを生み出せたらと思っています。持続的なサービスにしていきたい」と意気込みを述べた。

吉本興業ホールディングス 株式会社FANY 代表取締役 梁 弘一さん
吉本興業ホールディングス 株式会社FANY 代表取締役 梁 弘一さん

 三社は、新たなエンタメとして生まれたショートドラマが、多くの人々にとっての楽しみとなり、そして多くのクリエイターが適正な対価を得ることができる、持続可能な新たな経済圏となることを目指していく。