カメラグランプリ2020、大賞はソニー「α7R IV」 「集大成」「オールマイティ」など高評価

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2020/05/20 05:00

 カメラ記者クラブおよびカメラグランプリ2020実行委員会は、カメラグランプリ2020 大賞/レンズ賞/あなたが選ぶベストカメラ賞/カメラ記者クラブ賞を決定した。大賞はソニー「α7R IV」、レンズ賞はソニー「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」、あなたが選ぶベストカメラ賞はソニー「α7R IV」、カメラ記者クラブ賞はキヤノン「EOS-1D X Mark III」、ニコン「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」、富士フイルム「GFX100」となった。

 同グランプリは、写真・カメラ専門の雑誌・ウェブ媒体の担当者の集まりであるカメラ記者クラブが主催し、カメラグランプリ実行委員会の運営のもと、選考委員を組織。2019年4月1日~2020年3月31日に発売された製品から各賞を選考した。

 カメラグランプリ「大賞」は、期間内に新発売されたスチルカメラの中から、もっとも優れたカメラ1機種を選び表彰するもの。また、日本国内で新発売された交換レンズの中からもっとも優れた1本を選ぶ「レンズ賞」、一般ユーザーがウェブ上の専用サイトから投票する「あなたが選ぶベストカメラ賞」(投票期間:2020年3月16日~4月12日)、カメラ記者クラブ会員が「大賞」「レンズ賞」を受賞した製品を除くすべてのカメラと写真製品・機材を対象に、大衆性、話題性、先進性に特に優れた製品を選ぶ「カメラ記者クラブ賞」の合計4つの賞を設けている。

 選考委員は、カメラ記者クラブの会員をはじめ、加盟雑誌の編集長(もしくは代表者)、カメラグランプリ実行委員が委託した外部選考委員、特別選考委員(学識経験者、カメラメカニズムライター、写真家、写真関連団体の代表など)、および特別会員のTIPA(The Technical Image Press Association:欧州を中心に16ヵ国28媒体およびカメラ記者クラブが加盟する写真・映像雑誌の団体)で構成され、今年は総勢54名が選考にあたった。

 各賞の選考理由は、選考委員の投票理由をもとにカメラグランプリ実行委員会でまとめた。

 受賞製品および選考理由は、次のとおり。

カメラグランプリ 2020 大賞

ソニー「α7R IV」

大賞/選考理由

 フルサイズミラーレス機のα7シリーズの中でも高画素機Rの4代目のモデル。画素数は、有効約6100万画素になり、先代α7R IIIの有効約4240万画素から大幅アップ。撮影画像は緻密で、画像をクロップしても十分に使える画質となっている。AF/AE追従でメカシャッター時約10コマ/秒の高速連写が可能。像面位相差AFセンサーによる、オートフォーカスも高速で、瞳AFは正確で被写体の追従性もよい。高画素と動体撮影を高い次元で両立させている。また、大型化したグリップやボタンの機能変更、露出補正ダイヤルのロック機構など操作性、バッテリーの大型化など使い勝手も大きく改善されている。「フルサイズαの集大成的存在」、「現在のミラーレス機としてはもっとも高い性能」「オールマイティーという言葉はこのカメラこそふさわしい」など多くの選考委員が評価した。同シリーズのα7R IIは2016年にカメラグランプリ大賞を受賞している。

カメラグランプリ 2020 あなたが選ぶベストカメラ賞

ソニー「α7R IV」

あなたが選ぶベストカメラ賞選考理由

高画素機でありながら、AF性能などバランスの良さも好評だった。また、ミラーレス機としてトップクラスの性能であり、フルサイズミラーレス機の位置付けを変えたモデルという評価も多かった。

カメラグランプリ 2020 レンズ賞

ソニー「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」

選考理由

 焦点距離200~600mmの超望遠ズームレンズ。同社のカメラと組み合わせて高速かつ静かでレスポンスのよいAFを実現。インナーズームによりズーミングしても全長が一定で重量バランスの変化が少ないのは、小型なミラーレス機用レンズとして使い勝手に寄与している。少ない回転角で操作できるズームリングなど操作性もよい。開放F値はF5.6-6.3であっても、電子ビューファインダーや同社のAFシステムでは問題にならない。光学式手ブレ補正を搭載し、小型・軽量で取り回しのいいレンズに仕上がっている。そうした使い勝手の良さに加え光学性能も高く、その性能やスペックに対して安価であることにも評価が集まった。テレコンバーターにも対応し、最大1200mmのレンズとして使える。現時点でのミラーレス用超望遠ズームの決定版ともいえ、モータースポーツはもちろんのこと、飛行機、野鳥の撮影などに重宝するレンズだといえる。

カメラグランプリ 2020 カメラ記者クラブ賞

キヤノン「EOS-1D X Mark III」

選考理由

 大きな進化を遂げたフラッグシップ一眼レフ。これまでの一眼レフ機のアドバンテージ部分を順当に進化させた。一眼レフとしてAEセンサーを使った被写体認識やAF/AE連動で約16コマ/秒の高速連写を実現したほか、デュアルピクセルCMOS AFによるライブビュー撮影でも高速かつ、確実に追従するAFで約20コマ/秒を実現している。ミラーレス機が主流になりつつある中で、一眼レフのメリットと存在価値を強く主張している。新開発で16点に分離させるGD(Gaussian Distribution)ローパスフィルターを採用。モアレを抑えながらも、レンズの解像感を生かす設計になっている。また、新開発の画像処理エンジンDIGIC Xによって連写性能や動画撮影にも寄与。一眼レフとしての高い性能と、ミラーレス機に繋がるライブビュー性能のよさも実感できる。

カメラグランプリ 2020 カメラ記者クラブ賞

ニコン「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」

選考理由

2018年に同社の新ミラーレスカメラのZシリーズと同時に発表され、そのZマウントはこのレンズを作れる寸法に設計されたと明かされた大口径標準レンズ。ニコンZマウントシステムを象徴するレンズといえる。一眼レフ用のFマウントの制限から解放され設計の自由度が向上したことを存分に生かしている。標準域のレンズでありながら、大きなマウントおよび開放F値0.95により、望遠レンズ並みの大きなボケを実現。その浅い被写界深度は、これまでとは異なる表現を可能にする。大口径でありながら、周辺まで優れた画質を誇る。MFレンズであり高価ではあるものの、それに足るあこがれが持てるレンズだ。2020年5月18日現在、受注が休止されているのは残念だが、そうせざるを得ないほどの注文が多いのは、本レンズだけでなく、新マウントシステムとしての期待の表れといえる。

カメラグランプリ 2020 カメラ記者クラブ賞

富士フイルム「GFX100」

選考理由

 43.8×32.9mmの大型センサーを採用するGFXシステムの中でも、1億200万画素という超高画素を生かしつつも、機動的に撮影できる仕様を両立している。単に高画素というだけではなく、顔や瞳認識をはじめとする高速なAFシステム、また5軸5段のボディー内手ブレ補正機構を搭載。かつ、35mm判のプロ機と変わらないサイズや操作感を実現し、1億200万画素の性能を手持ち撮影でも十分に生かせるようにしている。大きなセンサーサイズの余裕と、画像処理の技術により14ストップという広いダイナミックレンジを実現。スタジオ撮影だけではなく、防塵・防滴、耐低温性能を確保することで、屋外での撮影にも対応している。1億200万という高画素を、身近な存在にしたカメラといえる。