初回打ち合わせでモックアップを持参
事前注文とカスタマイズがサービスの要となるTOUCH-AND-GO COFFEEにおいて、電通アイソバーが担った役割は大きい。業界初のペットボトルコーヒーをヒットさせたBOSSが、自販機やコンビニ、コーヒーチェーンとは異なるLINEを起点とした第3のコーヒーサービスを作りたいと発案した当初、LINEの開発実績やUX設計に定評のあった同社に白羽の矢が立った。
第3のコーヒーサービスと聞いて、プランニングディレクターの秋山奈央さんは「おもしろそう」という第一印象を持ったが、プロデューサー的な立場でプロジェクトに関わるアカウントディレクターの冨田正喜さんは「チャットボットを使った案件は過去にも経験していましたが、今回はUXや購買のシステムを考慮して仕組みを作らなければいけないので、そういった部分は新たな挑戦となりそう」と感じたという。
電通アイソバーが依頼を受けた時点ではまだイメージが十分に固まっていなかったが、シニアコミュニケーションデザイナーの上江州佑布子さんが1回目の打ち合わせでLINEのUIデザインモックアップを持参した。
「スマホの種類に応じた最適なボタンの大きさや、注文キャンセルの可能性などを考慮しながら、一連の流れを動的に見せることのできる試作品を作って、ミーティングに持って行きました。ほかの案件でも、なるべく初期段階で動くものをお見せするように心がけていますが、今回はコーヒーのカスタマイズの設計も行う予定だったこともあり、サントリーさんともより長い期間にわたってコミュニケーションをとることになる。そう感じたため、いつも以上に最初の段階でモックアップを見ていただいたほうがよいと感じました。
ちょうどそのタイミングで、プログラミングの知識がなくても簡単かつ短時間でLINE Botのプロトタイプ『LINE Bot Designer』というプロダクトがリリースされたばかりだったので、使ってみる良い機会にもなりました」(上江州さん)
「通常はオリエンテーションでのヒアリングをもとにパワーポイントで資料を作り、フィードバックを受けて修正、そして再提出といった流れを何度か繰り返すのですが、初回に実際のイメージがわかるモックアップを持っていくことで、最初からクライアントと同じ方向を向いてスピーディーに進めることができました」(秋山さん)