CEOのナラヤン氏「創作を続けよう」
基調講演の映像は、アメリカ・ロサンゼルスのラルゴシアターで撮影されたものだ。冒頭には、アドビのCEOであるシャンタヌ ナラヤン氏(Shantanu Narayan)が登壇。まずはオンラインでの開催となったことに触れた。
「今回のイベントはデジタル環境で行うことになりますが、私たちは高い目標を掲げています。(中略)オンラインでは世界中から何百万人もの方々にご参加いただき、過去最大のAdobe MAXとなりました。会場で連帯感を感じることはできませんが、今年はデジタルの力で、すべての人を仲間にできることを示していきましょう」
ナラヤン氏は、パンデミック下における世界中での創作活動が活発になったことに触れ、アドビのクリエイティブツールが多くのクリエイターを支えたことに胸を張った。そして、アドビとしても「Adobe Coloring Book」の作成や、National Geographicと提携しオンラインの学習コースとして「影響を与えるストーリーテリング」シリーズなどの制作、アメリカだけでも3,000万人の学生にCreative Cloudへの無料アクセスを開放したことなどを紹介した。
さらに、事業戦略面では下記の5つを柱としていることを提示。
- あらゆる人に主張するための力を与えること
- いつでもどこでも制作が行えるようにすること
- 共同作業を円滑に行えるようにすること
- 新しい様式やメディア・デバイスに対応すること
- 人工知能によってクリエイターの作業負担を低減すること
そのうえで、次のように話を締めくくった。
「今ほど世界がクリエイティビティを必要としている時はありません。実際にクリエイティビティは、体内の結合組織のように人々をつなぎます。クリエイティビティと創意工夫が私たちを強くします。皆さんへのお願いは、創作を続けること。世界に何ができるかを示し、互いに刺激し合い、変化を生み出しましょう。すべての人に『つくる力』を伝えましょう」
クリエイティビティに必要なのは「意義」
続いて、Creative Cloud製品関連のトップである同社CPO(最高製品責任者)のスコット ベルスキー氏(Scott Belsky)が登壇。同氏は、製品アップデートの説明の先立ち、2020年のトピックについても言及。誰もがクリエイティビティに挑戦できると語った。
「2020年は試練の年でした。コロナ禍により人命と経済が大きな打撃を受け、George Floyd氏の死後、社会問題が浮き彫りになりました。
しかし、危機とストレスは真実を明らかにします。辛い一年で明らかになったことは、クリエイティビティの回復力です。試練の時代を生き抜くだけでなく、さらに豊かに発展し、世界中の人々が外出禁止となると同時に、クリエイティブ活動を始めました。自宅で名画を再現し、パンデミックのヒーローを称え、大人の塗り絵集を集め、誰もがアーティストになりました。(中略)狂気のウイルスに高らかに宣言しています。『決して負けない』と。今年、クリエイティビティには、高価なキャンバスも潤沢な予算も必要ないことを知りました。必要なのは、意義だけです」