たき工房流デザイナーのスキルアップ施策を紹介 重要なのは「何をデザイナーの成長と考えるか」

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 デザイン会社・株式会社たきコーポレーション(旧、株式会社たき工房)でディレクターから制作部長までを歴任し、現在はデザインアドバイザーとして活躍する舟木真也さんに、企業のデザイナー育成をテーマに解説していただきます。今回は「デザイナーの成長とそのための施策」についてです。

 こんにちは。舟木真也です。デザインを内製化している企業やデザインに関する悩みをもっている制作会社へ、デザイナーのスキルアップやモチベーションアップ、デザイン・ディレクションのためのワークショップといったデザイナーの育成、デザイン知識やデザインツールの使用法に関するレクチャーなどを行っています。

 たき工房は、2021年3月1日グループ会社と合併しました。株式会社たきコーポレーションと社名変更しカンパニー制を導入。現在は7つのカンパニーで構成しています。創立が1960年なので、60年以上つづく日本のデザインエージェンシーです。

 たき工房には120人ほどのデザイナーが在籍しており、日々さまざまな仕事で自己研鑽をしています。また、キャリアと適性に応じた研修・育成制度が、個々の能力向上に活用されています。ですがデザインには、一気に上手くなるような一発必中の魔法はありません。繰り返し反復することにより、少しずつデザインクオリティは上がっていきます。今回は、たき工房がデザイナーのレベルアップについてどのような考えで施策立案しているのかをご紹介できればと思います。

たき工房のキャリアステップから考える、そのために必要なふたつの軸

 一口にデザイナーといっても、大学・専門学校卒の20歳~22歳から、経歴30年以上のベテランまで年齢の幅は広く、当然のようにデザインレベルはそれぞれ異なります。そのため、1人ひとりが目的をもって成長できるように、たき工房では職種とレイヤーに応じたキャリアステップと研修制度を用意しています。

たき工房における制作職のキャリアステップ図
たき工房における制作職のキャリアステップ図

 このように、新卒のデザイナーから制作部長までを5段階に分けてテーマを設定。それぞれのポジションで身につけなければならない能力を明記しています。このような体系的な育成の軸をつくることで、それぞれのキャリアにおいて、専門スキルの習得から人材マネジメントまで必要な研修を考えていきます。

 デザイナーの成長を促すには、大きくふたつの側面があると考えています。ひとつはスキル面の向上。もうひとつはモチベーションの向上です。それぞれについて説明しましょう。

1.スキルアップ

たき工房では、下記をはじめとした実務への直結を視野に入れた研修プログラムを用意しています。

  • デザイナーのアートディレクション能力を高めるアートディレクター研修
  • グラフィックデザイナーが動画やアプリを制作できるようにするための映像研修やデジタル研修
  • UXのリテラシーを高めるためのUI/UX研修

システムとしてこういった研修を中長期で行うことにより、時間をかけてスキルを身につけます。社内の先駆者が自社のデザイナーに合った習得方法で研修内容を考えるため実務に結びつきやすく、「身についたかどうか」を明確にすることができます。このような研修は多くの会社が同様の施策をされていると思います。

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