――まずは御社の事業概要について教えてください。
動画マーケティングを中心に、デジタルサイネージ事業、広告運用事業、映像制作事業の3つを展開しています。デジタルサイネージ事業では、東京都内最大級のモビリティメディア「THE TOKYO TAXI VISION GROWTH」を筆頭に、都内の高級ヘアサロン専門サイネージメディア「THE TOKYO SALON VISION COVER」や渋谷のOOHビジョンなどを媒体として運営しています。
――2021年3月に提供を開始された「THE TOKYO MOBILITY GALLERY Canvas」にはどういった特徴があるのでしょうか。
タクシーの空車時間を活用したモビリティサイネージサービス「THE TOKYO MOBILITY GALLERY Canvas(以下、Canvas)」は、これまでの知見を活かし新たにリリースしたサービスです。
弊社が運営しているモビリティメディア「GROWTH」は、タクシー利用者の移動時間に対して深く情報を届ける媒体ですが、Canvasは、東京都内の街ゆく人に対して情報を発信していきます。
Canvasのひとつの特徴は「視認性の高さ」です。Canvasが設置されるJPN TAXIの後方窓ガラスは、常に人の目線の高さでクリエイティブ放映することが可能であるため、視認性が高く、強い広告インパクトを生み出すことができます。
もうひとつの強みは、国際自動車・大和自動車交通と連携しており、タクシービジネスの特性上、人通りの多い繁華街からビジネスエリアまでを走行することが多いため、その周辺にいるユーザーにアプローチすることが可能な点です。
――本サービスを開発するに至った経緯について教えてください。
2019年4月にモビリティメディア「GROWTH」の運営を開始し、これまで約300社以上の広告主さまに活用していただいています。広告ビジネスとしては順調な一方、乗車時間だけでない、モビリティとしての価値にタクシーの可能性を感じており、新たなビジネスの創出は常に模索していました。
そのような中で、タクシーは空車時間が約半分であることに着目し、空車時間をマネタイズする方法を考えました。空車時間を有効活用し、広告ビジネスとして新たな収益モデルを構築することで、タクシー事業に貢献し、IT・DX化が進むタクシー業界をさらに活性化していきたいという思いから、Canvasのサービスを開始しました。
――Canvasのサービス開発にあたり、苦戦した部分はありますか?
サービス開発にあたり、運転への影響など安全性の確保については常に気を配っていました。保安基準に適合する形の表示内容としていますが、安全を第一とするタクシー事業者と共同で安全性の検証をしながら開発を進めてきました。
苦労した点は、「Canvas」の名の通り、都内で目を引くようなインパクトのあるクリエイティブの掲出と安全性の確保を両立させることです。開発はAGC社の「グラシーン」という最先端の技術を採用していますが、自動車用ガラスとしての認証をクリアし、安全性を含む各種スペックを確保することに苦労したと聞いています。何度も実証実験を重ねることで、プロジェクター投影時の高コントラストなクリエイティブ表示が可能であり、安全性・耐久性も担保された窓ガラスの開発に成功しました。
――Canvasをこれからどのようなサービスに成長させていきたいですか?
「THE TOKYO MOBILITY GARALLEY Canvas」は、「タクシーの後部座席窓ガラス全面をキャンバスと位置付け、東京に新しい一つのギャラリーをつくりたい」という思いから名付けました。プライベート空間で動画を配信するGROWTHと異なり、Canvasは東京の街行く人に情報を届けることができます。単なる広告媒体ではなく、「キャンバスに何を描こうか」とワクワクした気持ちで、企業やサービスのプロモーション活動に利用していただける新たな広告媒体を目指しています。
また、タクシーは唯一24時間稼働している公共交通機関であるため、災害情報など公的な情報の発信にも活用していただけるのではないかという考えから、自治体を含む公共機関でも利用していただけたらと思っています。
直近の目標に関しては、大きく2点を掲げています。1点目は、2021年6月より都内を走行するJPN TAXI 100台で運用を開始するなかで、2022年中に1,000台のJPN TAXIに搭載を完了することです。2点目は、ロケーションや時間帯に最適化した広告やその他情報を表示できるよう開発を進めることです。Canvasの共同開発者であり、ビジネスパートナーであるS.RIDE社との連携をより強化し、タクシー配車アプリ「S.RIDE」で取得した位置情報などのデータと連携も行っていきたいと考えています。